第14章 逃亡者の葛藤
「お前が俺に殺されるのはもう決まってるんだよ!!」
五鬼さんが襲い掛かってくる。なんとか刀を構えるが、すぐに殺生丸さんが私を背に隠し初めて見る刀で応戦し始める。
「殺生丸さんっ!!」
「行け、櫻子」
「何を……っ」
「その刀を置いて、お前は自分の時代に帰れ」
「どうしてそんなこと……っ」
「ならば、貴様は死んでもいいと思っているのかっ!!」
「……っ!!」
殺生丸さんの殺気を感じながら、私はぎゅっと羅刹桜牙を握った。この刀自体に力はないという……でも大妖怪の牙から作ったものなら、これ自体にもそれなりに力はあるはず。
「……殺生丸さん! この刀を……貴方に持っていてほしいです」
「なんだと……?」
「元々、お父さんの刀でそれを取り戻すために貴方はあの場所にいた。そうですね?」
「それがどうした……」
「なら、殺生丸さんが持つべきです」
殺生丸さんは五鬼さんの刀を薙ぎ払って、私を見た。
迷いなく刀を差し出すと、殺生丸さんはその刀をしっかりと握ってくれた。
「殺生丸さん、短い間でしたがありがとうございました」
「……さっさと私の前から失せろ」
「……はい」
これでいいのかな。それでよかったのかな。それでも、この傷ではどちらにしても殺生丸さんと共に戦うことが出来ない。
深くお辞儀をして、私は走り出す。目指すのは此処まで来たせいで離れてしまった、村の方へ。あそこに行けば、犬夜叉さんもいるかごめさんも。皆に助けてと伝えれば、助けてくれるだろうか?
ごちゃごちゃと考えながら走っていると、道を塞ぐように見たことのある巫女服が見えた。