第9章 7。
大切な人の幸せを自分の力で少しでも手に入れられるのではないかと思い、奮闘していた自分がいたことは確かだった。しかし実際には、何もできない無力な自分しか存在しない。
私は一瞬口を開いたが、何も言葉を思い浮かべることができず、再び口を閉じた。そして着替えることもせずに、まぶたを閉じた。
「疲れ…た…」
私は小さな声で呟き、今日は幸せな時間を過ごせたと思っていた。しかし、実際にはとても寂しい現実に直面してと実感した。それを忘れようと、布団を被った。
そして、もし叶うのなら、もう一度だけリヴァイの隣でが笑う姿を見たい。のそばにいれば、殺伐とした雰囲気を漂わせるリヴァイの姿も、少しは和らぐはずだ。
二人の幸せがどのような形であるかは分からない。それでも、私の脳裏には「二人で空を見上げている姿」だけが鮮明に浮かぶ。
私にとって、その時の二人の雰囲気が何よりも好きだったのだ。ただ、それだけだった。
「(…叶うのなら…もう一度だけ…)」
私は布団を被りながら、突然襲ってきた眠気に抗えず、まぶたを閉じて心の中でそう願った。