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空を見上げた。

第9章 7。



それでも、「保証」や「確証」という言葉が存在しない中で、私たちは人類のために心臓を捧げているのだ。

しかし、彼らにも帰りを待つ家族や恋人がいて、その人々が必ずしも覚悟ができているわけではないのだ。彼らは常に淡い希望を抱きながら、壁の外へと送り出す。そして、淡い期待を胸に抱きながら待ち続けるのだ。

壁外で命を落とした場合、必ずしも死体を持ち帰ることができるわけではないのだ。その確率は極めて低い。「死んだ」という情報しか持ち帰れず、帰りを待つ人々は、その真実を簡単には受け入れられないことが多い。

「…怖い…よね…」

私はそう考えながら、再び窓の外の夜空を見つめ、短く呟いた。そして、の姿を思い浮かべた。もしこの先、リヴたちが兵士になることを選んだとしても、彼女はそれを受け入れるのだろう。

それでも、「調査兵だけは」と願うことは、不自然ではない。彼女のように兵士として働き、壁の外の世界を知っている人にとって、我が子が同じ道を歩むことに抵抗を感じるのは自然なことだろう。

私は何度考えても、彼女がどのような気持ちを抱いているのか、息子たちに自分が「調査兵団の兵士」であったという真実を隠している理由が理解できない。

また、リヴァイに何も告げずに姿を消した理由すら分からない。ただ、大きな恐怖心を抱いていることだけは確かだ。いくらリヴァイが並外れた力を持っていても、「必ず帰ってくる」という保証や確証のない現実を抱えながら日常を過ごすことは容易ではないだろう。

そして、まだ幼い我が子たちにも同様に必要のない心配を抱かせたくないという気持ちは理解できる。それでも、何事にも向き合わなければならない日が必ず訪れる。その時、彼女はどのような判断を下すのだろうか…。

「君は望まないかもしれないけれど、もう一人で抱え込ませることはしないからね」

私はそう言い、机の上に置いてあるから預かったマントと二通の手紙に視線を向けた。その後、視線を天井に移し、手を伸ばした。

何をこの手に掴みたいのかは分からなかった。それでも、手を伸ばさずにはいられなかった。ただ、できることなら、リヴァイとが再び共に過ごせる日常だけでも手に入れたかった。これまで、その願いを抱かない日は一日もなかった。

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