第9章 7。
できれば、リヴたちの愛らしさをリヴァイにも感じてほしいと思った。しかし、それは叶わぬ願いなのかもしれないと考えながら、「未来は誰にも分からない」と自分に言い聞かせた。
私は、これ以上リヴたちのことを考えると、抑え込んでいた「寂しさや恋しさ」が再び胸の中に広がっていきそうだったので、早々に考えることを中断した。
「ねぇ、…君は何も変わっていなかった。もし少しでも性格が歪んでいたら、会いに行かなければよかったと思えたのに、こんなものを何年も大切に保管しておくなんて…そして、これを私に預けたということは、リヴァイにバレることも覚悟の上だろう?それでも、私に預けたんだ。半端な思いと覚悟ではないことはしっかり伝わったよ」
私は一度その場で立ち止まりそう呟き、預かったマントを見つめて抱きしめた。そして、彼女の姿や言葉を思い出した。あの時の彼女の姿は簡単に表現できない。
すると、「もう会えない」というとの交わした言葉を思い出し、息苦しさを覚え、胸が締め付けられるのを感じた。分かっている。彼女は新しい人生を歩んでいく。
その中にリヴァイの存在がいなくても、前に進んでいくのだろう。それでも、割り切らなければならないと頭では理解していても、心は拒絶している。私は今、「何が正しくて何が間違っているのか」ということが分からなかった。しかし、考えても答えが出ないのであれば、考えるだけ無駄かもしれない。
「人生には分岐点がある」と、私は自分に言い聞かせるように一度まぶたを閉じて深呼吸をした。そして、まぶたを開けて再びの姿を思い浮かべた。
再会した後に感じたのは、「彼女は相変わらずだった」ということだ。変わった部分もあるだろうし、私たちが知らない部分の方が多いはずだ。しかし、リヴァイに向ける思いや愛情は何も変わっていなかった。
その中での考えには理解できない点が多い。しかし、これまで彼女がどれほど辛く、健気に生きてきたことをを考えると、今回彼女が下した判断と決断を無駄にしないために、私は全力で向き合うことを決意した。
「おっと…さすがにそろそろ急がないとまずいっ」