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空を見上げた。

第8章 6。



「…そっか…あの人はすべてを知っていたんだ。私、あの時、お母さんのことが心配でたまらなかった。でも、早く帰るわけにもいかないし…普段はリヴたちも買い物の途中で飽きてぐずり始めるのに、ずっと興奮していて、私もどう反応していいかわからなかったよ。でも帰ってきて、お母さんの様子がこれまでと違って晴れやかで、安心した」

「心配をかけてごめんね。私もリヴたちが帰ってきたときは驚いた。「兵士の人と一緒だ」って言われて、思わず逃げ出したくなった。でも、今は心から先輩と再会できて話ができたて良かったって思っているの。リヴたちには感謝しているよ。これまで先輩にもたくさんの負担をかけてしまったから、もう何も背負わないでほしいよ」

私はテーブルの上で手を握りしめながら苦笑いを浮かべた。「背負わないでほしい」と自分の言葉を口に出した後、大きなため息をついた。

そして、一度シイナに視線を向けると、彼女はなんとも言えない表情を浮かべており、その表情を見て無意識に眉をひそめてしまった。

「…でも、その人と話ができて気持ちに区切りがついたのなら、余計にマントは自分で処分した方が良かったんじゃないの?同じ兵団内にいて、どこで、どうやって処分するつもりなの?今まではリヴの存在と私たちの所在を隠すことだけだったけど、今回の件は全く違うんだよ?完全にお父さんからお母さんを遠ざけることに加担しちゃったんだよ?お母さん…言っていることとやっていること、滅茶苦茶だよ?背負わなくていいって…また、背負わせちゃってるじゃん」

すると、シイナは私の話を聞き、珍しく容赦のない言葉を投げかけてきた。彼女の主張はしっかりと筋が通っており、私の言動はこれまでも、そしてこれからも矛盾に満ち溢れている。

先輩にマントを託すことで、あの人にすべてを知られてしまう可能性は非常に高い。そして、すべてを知ったあの人は決して黙っていないだろう。

私だけでなく、事情を知るエルヴィン分隊長やハンジ先輩も、ただでは済まされないだろうと理解している。

彼女の言い分はよく理解できる。しかし、何事にも覚悟は必要だ。実際、先輩と話したことで心と気持ちに余裕が生まれ、一段落したように感じている。

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