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空を見上げた。

第8章 6。



それでも、自分でマントを処分することはできないと思った。私はあまりにも弱い。「覚悟」という言葉が頭に浮かび、口に出してはいるものの、実際にはその言葉に酔いしれているだけで、結局今回も怖気づいてしまった。

そして、再び他人に任せて逃げてしまった。私はまぶたを強く閉じ、奥歯を噛みしめた。

そして、私はシイナの真剣な表情と瞳を見つめると、これ以上何も話せなくなり、椅子から静かに立ち上がった。杖を突かずに、脚を引きずりながら歩き、庭に面した窓に近づいて片方の窓を開けた。

私はなぜか、そこから見える夜空を美しいとは思えなかった。しかし、これまで見てきた夜空とは格段に異なっており、その美しさを感じていた。

これまで一人で見上げていた空は、どんな空模様でも「あの人は生きている」と思うことで安心でき、美しさを感じることができた。しかし、心の中には少し複雑な感情を抱いていたのは確かだった。

暗い窓の外から少し肌寒い夜風が室内に吹き込んできて、私を包み込むと、そのまま外へと流れ出て行った。それはまるで、この重苦しい空気を運び出しているかのようにようだった。そして、私はその夜風を感じながらまぶたを閉じ、震える唇を軽く噛んで、恐る恐る口を開いた。

「あのね、私…今までずっと逃げていたの。ううん…今も逃げ続けてる…自分で決めて行動しているのに、毎日自分が嫌になるの。シイナが言いたいことも分かるし、今日先輩が何を考えていたのかも理解できる。できることなら、全部打ち明けてしまいたい。私だけが傷つくぶんには耐えられる…でも…それでも…っつ…ゔぅっうっふぅ…」

私は一つ一つ言葉を探しながら話そうとしたが、適切な言葉が見つからず、そんな自分に呆れ、情けなさを感じて口を閉じた。次第に視界が滲み始め、美しい夜空に瞬く星々の輝きが見えなくなっていった。

私の瞳から止めどなく涙が溢れ出し、頬を伝って流れ落ちていく。泣いてはいけない。私には泣く資格などない。手の甲で顔を擦り涙を拭い、奥歯を噛みしめ、唇を強く噛んで嗚咽を堪えた。

本当に心の底から傷ついて、泣きたいのはハンジ先輩だ。そして、あの人だ。私の身勝手な言動のせいで、どんな形であれ、この先傷つき続ける人物が必ずいる。その事実は変えようがない。

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