第7章 5。
それでも、この先もは生き続けてくれるだろう。それだけで私の願いが一つ叶ったのも同然だ。多くは望まないし、望むべきではない。
私はそう思いながら、最後に強くを抱きしめた。「」という私にとっての「最愛」がこれ以上壊れないようにと願いながら、強く、そして優しく抱きしめ続け、小さく痩せ細った体から感じる温もりに目を閉じて心を委ねた。
――――。
私たちはその後、特別な話もせず、名残惜しい気持ちを胸に抱きながら別れを済ませた。リヴたちがそろそろ帰宅する可能性が高かったため、私が帰宅時にまだ家にいると事態がややこしくなると考え、最後に抱きしめ合った後、早々に家を後にした。
私は馬で人通りのない夜道を駆けながら、体に吹き付ける夜風がなぜか心地よく感じていた。片手で手綱を握り、もう一方の手には胸に抱きしめるように持っているから預かったマントと、マントと共に燃やしてほしいと頼まれた一通の手紙と私宛の手紙を持っている。
私はマントに視線を移し、片手で手綱を握っているため、馬の背中に乗っている私は少し不安定さを感じ、速度を少し落とした。
今日、リヴたちに出会い、そしてと再会できたことが、これから私の未来にどのような変化をもたらし、どのような思い出に変わるのかは分からない。それでも、「会わなければ良かった」とは思えなかった。むしろ、「会って良かった」と心から感じている自分がいた。
今日、私の人生は大きく変わったように感じる。リヴたちに出会えたこと、と再会し、リヴァイに対する「変わらぬ愛」を実感できたことが、その理由だ。
そして、このマントには私が知らないの思いが込められていると思うと、複雑な感情と心温まる気持ちがインクのように心の中で混ざり合い、吸収されていくのを感じた。
私はふと手綱を離し、手で胸元を抑えながら美しい夜空を見上げた。そして、メガネを額に上げ、目の前の光景に目を見開いた。目の前の夜空には雲ひとつなく、無数の星が瞬いていて、とても美しかった。
今の私には非常に不釣り合いな光景だったが、そんなことは関係ない。どんなに辛く苦しい感情も、「が生きていた」という現実を前にすれば、非常に些細なものに思える。