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空を見上げた。

第7章 5。



何か言葉をかけてあげたいと考えていると、今日、短い時間の中でリヴとルアの様子を見たときに感じたことをふと思い出した。そして、私は一瞬躊躇したものの、リヴたちを見て感じたことを「伝わってほしい」と思いながら、に語りかけた。

「、君はもう心臓を捧げた兵士じゃない。今や君は三人の母親なんだ。きっとルアは、自分が体験した記憶をこれからも思い出しては苦しむだろう。それでも、今、ルアは一人じゃないんだ。血のつながりはなくても、ここに家族がいる。私は何も知らないよりは、何か一つでも知識があるだけで、接し方は大きく変わってくると思うよ。そうでなければ、笑うこと…いや、普通に生活を送れるようにはならないだろう。はなりに精一杯頑張ったんだ。」

私はできる限りの思いを込めて彼女に伝えた。すると、は嗚咽をこらえながら恐る恐る両手を顔から外し、涙で濡れた顔を見せた。そして、赤く腫れた目を細め、安心したような笑みを浮かべてくれた。

は私の言葉を聞いて安心したのか、心に少し余裕ができたようで深呼吸を繰り返し、目尻にたまった涙を指で拭い取った。

私はその姿を見たとき、思わず息を呑み、心の中で頭を抱えて考えた。「なぜ、今泣いているの涙を拭う人物がこの場にいないのか」と思ってしまった。

しかし、そう考えた後、私は心の中で大きく首を振った。そして、「そんな都合の良い話があるわけがない」と自分を叱責し、殴りたくなった。

も私と同じような思いを抱いたことがあるはずだ。これまで一人で多くの感情や後悔を抱え、涙を流してきたに違いない。リヴァイの存在を恋しく思ったこともあっただろう

しかし、彼女はリヴァイから離れる決断を「自分がまいた種だ」と理解し、納得して現実を受け入れてきたのだ。そして、私もまた、その現実が存在していることに関わっている以上、都合のいい考えを持つべきではない。

「先輩…お願いがあります…私はどこまでも身勝手で愚かです…こんな自分が嫌になります。それでも、先輩にお願いしたいと思います」

すると、落ち着きを取り戻したは、私の目を真っ直ぐ見つめ、真剣な表情で言葉を発した。

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