第7章 5。
「それは、買い被りすぎだよ。でも、君がそう言うのなら、少なくともお互いに変わっていない部分が多いということだ」
言葉を選びながらも、思った以上に会話ができていることに気づき、7年という時間が経過しても、私たちの関係に大きな違いがないと感じ、心から喜びと安心感を抱いた。
しかし、思った以上に話せていると感じたのは一瞬のことで、すぐに私たちは黙り込んでしまった。気を使いながら言葉を選んで話していることに苦痛を感じているわけではないはずなのに、かつてのように気兼ねなく接することができないことに戸惑い、何を話せばよいのか分からずに視線を彷徨わせた。
時間がないと思うと焦りが生じ、言葉がうまく出てこず、もともとまとまっていない考えがさらに混乱してしまった。
私たちの間には重い沈黙が流れ続け、静かな室内ではお互いの息遣いがやけに大きく聞こえ、心臓の鼓動が聞こえてきそうだった。
こうなることはある程度予想していたが、これほど耐え難い時間になるとは思っていなかった。
実際、私たちには変わっていない部分もあるが、変わっている部分の方が多い。その証拠に、あの頃とは立場が大きく異なっている。は一般市民だが、私は兵士だ。
彼女にとって、かつての自分はもはや過去の産物であり、兵士だった記憶は忘れ去りたいものかもしれない。しかし、私にとっては、兵士だった彼女自身とあの頃の思い出は、どんな形であれ、変わらず大切なものである。
「それにしても、初めてこの家に来たのに、なぜか懐かしい気持ちになるね」
私はその場に漂う重苦しい空気を払拭するために、他愛のない話題に切り替えた。不躾にならない程度に室内に視線を巡らせ、現在のの生活風景を伺った。
この家に入ったときにも感じたことだが、室内は必要最低限の家具で統一されており、非常に清潔感があった。そして、その清潔感を感じた瞬間、ふとリヴァイの姿が思い浮かんだ。私はに気づかれないように眉をひそめ、彼の面影を消すためにまぶたを閉じて軽く頭を振った。
「私もこの家に先輩がいるなんて夢のようです。先輩がそばにいると、やっぱり落ち着きますね」
「そうかな?そう言ってもらえて嬉しいよ。私も同じ気持ちだ
よ。のそばにいると、とても落ち着くよ」