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空を見上げた。

第6章 4。



が姿を消してから7年が経過した。それにもかかわらず、事情を知る私とエルヴィンは、リヴァイのに対する愛情や感情が何一つ変わっていないことを痛感していた。

はリヴァイと私たちを傷つけていると思っているだろう。あの子は苦しんでいるに違いない。しかし、それは私たちも同様だ。これまでリヴァイを傷つけてきたのだから、これからも傷つけ続けるだろう。

本当はすべてを話せば解決するはずなのに、それにもかかわらず行動に移さないのは、少なからず自分の弱さが影響しているのだろう。

私はふとが素直で優しい性格だったことを思い出した。そのため、常に死と隣り合わせの調査兵団の中で、は唯一の優しい風のようだった。

しかし、素直で優しい性格であるがゆえに、彼女は非常に鈍感でもあった。その証拠に、彼女に思いを寄せている兵士たちは、告白するたびに見事に玉砕していた。そして、誰よりもと親しかった私は、時々彼らの話を聞いてあげないと士気が下がりそうだった。

そして、リヴァイとが恋人同士になったことで、以前抱いていた気持ちを伝えた者たちも、安易に行動に移すことができなくなった。

気の毒に思うが、あの男に睨まれれば、巨人の恐ろしさを実感する前に、別の恐怖を感じることになるだろう。私であれば、仕事柄、短い寿命を自ら縮めるような無謀な行動は起こさない。

それでも、リヴァイはの前でも相変わらず口も態度も悪かったものの、その言動が少し和らいでいるように感じていた。

そのため、一時期、訓練の精度が向上した際、当時の団長であったキースや分隊長のエルヴィン、各班の班長たちは驚き感心していた。

おそらく、彼らはに伝えきれない思いを訓練を通じて発散していたのだろう。しかし、実践ではそう簡単にはいかないという現実がある。なんとも不憫な話だと私は感じた。

「…まぁ…だからだよね…」

過去の思い出に浸りながら、私は現在のリヴァイの姿を思い浮かべ、大きくため息をついた。

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