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空を見上げた。

第6章 4。



彼女のことを大切に思う気持ちは、大きさや形は異なるが、当時からリンのことを知る者として、「生きていてほしい」と願っていた。リヴァイが隣にいなくても、幸せを感じる瞬間が少なくても構わない。生きていてくれれば、人生がどう転ぶか分からないのだから。

私はリンが住んでいる家を見つめ、奥歯を噛み締め、一度まぶたを閉じた。リヴたちのためにも、後戻りはできない。そして、これは自分が決めたことだからこそ、できる限りやりたいことや話したいことを短い時間の中で行おうと思った。

「よし、じゃあ、私はここで待っているから、お母さんたちを呼んでおいで。ゆっくりでいいからね?馬に乗るのも、慣れないと疲れるだろう?」

私は動揺を隠すように二人にそう言うと、立ち止まった馬の背中から一人ずつ下ろした。今、二人に不安な気持ちを悟られるわけにはいかないと思いながら、笑顔を向けた。すると、二人は「ありがとうございます」と声を揃えて言い、照れくさそうに俯いた。

「はは、本当に仲がいいね。まるで本当に双子みたいだ。さあ、大丈夫だよ。ゆっくりでいいから。私はここで待っているからね」​

私はそう言って笑いかけると、二人は笑い返してくれた。その瞬間、リヴの笑顔がリンの笑顔と重なって見え、思わず目を見開いてしまった。

そして、馬から降りた二人はしっかりと手を繋ぎ、家に向かって走り出した。私はその小さな二つの背中を見つめながら、自分の馬の顔を撫で、「大丈夫だよ」と、自分自身に言ったのか、誰に向けて言ったのか定かではない言葉を優しく呟いた。

私はリヴたちを待っている間、すでにこの街を囲む壁の背後に沈み始めた夕日を見つめていた。気を紛らわすために腕を組み、片手で口元を覆った。

「リヴァイ、すまない。君が今も変わらずリンを愛し、探し続けていることを私は知っている。ひたすら前を見据えている君の視線の先には、いつもリンの姿を求めていることも理解している。それでも…私にも譲れないものがあるんだ…すまない…」

私は人知れずそう呟き、目の前に広がる夜の帳が下り始めた空に、リヴァイの姿を思い浮かべた。

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