第5章 3。
確かに、どんなにあがいても、死ぬ時は死ぬ。しかし、どんな時でも誰にとっても死は恐ろしいものである。これまで失ってきた仲間たちや、あの時私一人を残して命を落としていった仲間たちも皆、死を嫌がり、恐れていた。しかし彼らは、戦い抜いて死んでいった。
私のように生きることを放棄して死んだわけではない。みんなの死は無駄ではない。
「私の死は…」
そして、今生きているという事実を実感したその時、もし死んでいたら、戦うことも放棄していたのだから、本当にただの無駄死にだっただろう。何の役にも立たなかったと理解した。
リヴァイは私を助け、その事実を教えてくれた。「なぜあの場にいたのか」という問いへの答えは、私が生きていく中で見つかるような気がした。そのことに根拠はないけれど、私はこれから先、兵士として、また一人の人間としての生き方を教えてもらえたように感じた。
「…え…どうして…?」
私はそう思ったとき、無意識に泣いていることに気づいた。視界が滲み、次々と涙が溢れ出て頬を伝った。私はその涙を拭いながら、遠くに小さく見えるリヴァイの背中に向かって「ありがとう」と微笑みながら呟いた。
これから先、私の中の恐怖は死ぬまで消えることはないだろう。しかし、生きていなければ恐怖すら抱くことはできない。どんな時でも恐怖を抱きたくはない。
それでも、生きていればさまざまな感情を抱き、経験を積んでいく。「恐怖」という感情もその一部であり、それを否定してしまったら、生きているとは言えないのではないだろうか?
彼は「誇りを持って兵士になり、心臓を捧げたんだろう?」と私に問いかけた。そうだ、私は誇りを持った兵士だ。私は、ただ兵士になったわけではない。
私だけでなく、命を落とした仲間たちもそれぞれ異なる理由で誇りを持って兵士となり、戦いの中で命を失ったのだからこそ、私も誇りを持って戦い続け、そして死のう。私の死が無駄ではなかったと、誰にも知られなくても構わない。自分自身だけでもしっかりと誇れるように。
それから、私はこれまで以上に兵士として訓練や任務に邁進した。そんな私を見て、ハンジ先輩が「何か、変わった?」と問いかけてきたが、私はリヴァイに言われたことを誰にも話さなかった。