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空を見上げた。

第5章 3。



そして、私は改めてリヴァイに助けてもらったお礼を言うために、訓練の休憩中に彼を探していた。しかし、なかなか見つけることができなかった。

もともと、私たちはお互いの存在を知っているだけで、関わりがなく、話をすることもなかった。彼は普段から他の兵士と積極的に関わることはなく、常に近寄りがたい雰囲気をまとっており、人並外れた実力を持っているため、誰もが一線を引き必要以上に遠慮していた。それは私も同様だった。そのため、彼にお礼を伝える際、何を言われるのかと内心怯えていた私がいた。

そんな彼が自ら関わっているとすれば、エルヴィン分隊長かハンジ先輩の二人だけだ。

そのため、ハンジ先輩に居場所を尋ねたところ、「休憩中は兵舎から少し離れた木陰にいることが多い」と教えてくれた。

しかし、兵舎の周囲の土地は広く豊かな緑が広がっているため、探すのに非常に苦労した。それでも、私は諦めずにハンジ先輩の言葉に従い、兵舎から少し離れた場所の木陰を探し続けた。しかし、タイミングが合わなかったのか、なかなか彼の姿を見つけることはできなかった。

それでも、諦めることはできず、あの壁外調査からかなりの日数が経過したある日の休憩時間、普段通りに彼を探していると、兵舎から離れた場所の一際大きな木の木陰で座って休んでいる彼を見つけた。

私はそんな彼に躊躇いながら恐る恐る近づき、思わず言葉を失った。その時の彼は、普段の近寄りがたい雰囲気を和らげ、とても穏やかな印象だった私は一瞬声をかけることをためらったが、声をかける前に気配に気づき声をかけてきたのは彼だった。

「何か用か…」
「あ、いえ…あの…」
「…言いたいことがあるなら、はっきり言え」
「あ、はい!あの…この間の壁外調査で助けていただき、ありがとうございました!」

彼は私に対して短い言葉を発した。私は一瞬躊躇したが、思い切ってあの日の礼を言い、深く頭を下げた。しかし、彼は何も言わず、ただ頭を下げている私を見つめているだけで、私はその気配を感じながら頭を上げることができなかった。

彼の調査兵団への入団は特例だった。そのため、彼は同期でも先輩でも上官でもなかったが、私は彼が持つ独特の雰囲気に圧倒されてしまっていた。

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