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空を見上げた。

第5章 3。



私は一瞬、何が起こったのか理解できず、ただ目を見開いて呆然としていた。そして、目の前に広がる光景に思わず目を疑った。果てしなく広がる青空を背景に、深い緑色のマントを靡かせながら立体起動装置を使いこなし鳥のように飛ぶリヴァイの姿がそこにあった。その瞬間、私は生まれて初めてこの残酷な世界の中で「美しい」と感じた。

そして、私が呆然としている間に、その場にいた巨人はすべて倒されてしまった。すると、彼は呆然としている私に「さっさと馬に乗れ」と静かに言い放った。

私は彼に「なぜここにいるのか」と問いかけたい気持ちを抱いたが、それよりも彼が来てくれたおかげで、私を取り囲んでいた巨人が全滅したという、私の命は助かったという事実の方が重要だった。

私は助かった。いや、助けられたのだ。生きることを放棄したにもかかわらず、本当に奇跡が起こったのだ。その事実を実感したとき、恐怖心と極度の緊張感が解放され、私は未だ壁外にいたにもかかわらず、彼の馬に乗せられた途端、気を失ってしまった。そして、彼は私を連れて無事に帰還した。

その後、私は兵舎の自室で目を覚ました。その時、そばにはハンジ先輩がいて、私が目覚めたのを見て心から安心した様子で強く抱きしめてくれた。

私はその温もりを感じたとき、壁外で意識を失う前に微かに感じたリヴァイの温もりを思い出した。なぜ彼が、たかが一兵士である私を助けるために命を危険に晒してまで戻ってきたのか、私には理解できなかった。

すると、疑問を抱きつつもまだ意識がはっきりしない私に、ハンジ先輩は「さっきまでリヴァイもいたんだよ?珍しいよね」と笑いながら言った。

私も彼の存在を知ってはいたが、これまで関わることはなかった。そのため、その時初めて彼の存在を身近に感じた。

後日、疲れ切っていた私の体力も回復し、普通の日常生活を送れるようになった。そして、訓練にも参加できるようになった私をハンジ先輩は心配していた。しかし、あの状況で助かることは本当に奇跡に近く、あの時考えていた通り、私は一生分の運を使い果たしたように感じていた。

そして、生きて帰って来られたのなら、今、生きているのなら、私がやるべきことは一つだ。この先、本当に命が尽き果てるまで、全力で人類に貢献することだけだ。

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