第3章 1。
「はぁ…暇だなぁ…つまんねぇ…」
庭の地面に腕を枕にして寝転び、青い空を見上げながら、俺はため息をついて呟いた。
「リヴ、最近そればっかり…。君がそればかり言っているのを見るほうが、僕にとってはつまらないな」
すると、隣で本を読んでいた幼馴染のルアは、俺の呟きに反応し顔を上げ、眉をひそめ、呆れた様子で返事をした。
「…んだよ、お前はいいじゃん。本が読めれば満足なんだろ?俺からすると、毎日本を読むことだけが楽しみだなんて、逆にそれの方がつまらないと思うね。」
俺はそう文句を言いながら寝転んだまま、軽くルアの足を蹴った。すると、ルアは顔をしかめて「蹴らないでよ」と言い返し、俺の足を蹴り返してきた。
俺たちはそんな他愛のないやり取りをしながら、お互いに深いため息をついた。その後、再び、俺は頭上に広がる青い空に視線を戻し、ルアは本に目を戻した。そして、俺たちの間には再び無言の沈黙が広がった。
俺たちはここ、ウォール・ローゼ内のトロスト区の中心地から離れた街外れにある一軒家に住んでいる。以前、俺は母さんと血縁関係はないが、姉さんと三人暮らしだった。しかし、今は幼馴染みのルアも一緒に住んでいる。
元々、ルアはこの家から二軒隣の家で母親と二人暮らしをしていた。しかし、最近母親が亡くなったため、身寄りのなくなったルアを我が家が引き取り、俺の家で一緒に暮らし始めた。
昔からお互いの母親同士が仲が良く、俺たちは物心がついた頃から何をするにも、どんな時でも常に一緒に過ごしてきた。
そのため、初対面の人に双子の兄弟と間違われることがある。
母さんたちも「双子のようだ」と言うほどだった。実際に、お互いの考えていることを言わなくても察し合うことができるような関係性なので、そのことを否定するつもりはない。
「本を読むことは良いことだよ。僕にはまだ難しいことも多いけど、読み書きの練習にもなる。それに、僕が読み書きできるから、君も読み書きに苦労していないでしょ?」
「けっ、教えてくれなんて頼んでねぇよ。それに、俺は自分の目で見たものしか信じない」
ルアは本を読みながら、本の内容について楽しそうに話しかけてくる。しかし、俺は悪態をつきながら寝転んだまま、片手でルアが読んでいた本を取り上げた。