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空を見上げた。

第2章 序章。





優しい風が私の髪を舞い上げながら吹き抜けていく。私は両手で舞い上がった髪を抑え整えつつ、四方を高い壁に囲まれた狭い世界を見渡した。すると、頭上の青い空を見上げると、二羽の鳥が優雅に高い壁を飛び越えていく。

私は「気持ち良さそうね」と、その光景を見つめながら呟いた。

私の住む世界は四方を高い壁に囲まれていて、とても狭い。
それでも、多少の不自由さを感じながらも生活できるのであれば、多くは望まない。

大切な人を守りたかった。ただ、それだけの事だった。
たとえそれが自分の気持ちを偽り、全ての言動が身勝手で矛盾に満ちていたとしても、「離れていても生きていれば、この広い空の下で繋がっている」と思えば生きていけると、私は思っていた。

そして、私は片手を青く広がる空へ伸ばした。
それでも、気を抜くと考えてしまう。願ってしまう。
もし、もう一度だけ会えるのなら、また共にこの空を見上げたい。そんなことを考えてしまう。

「欲張りね…」

そう呟き、私はまぶたを閉じて苦笑いを浮かべ、伸ばした手をぎゅっと握った。

再び優しい風が私を吹き抜けていった。私はまぶたを開き、青い空を見上げながら深呼吸を繰り返し、微笑んだ。




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