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空を見上げた。

第21章 19。



「この街が襲われたとき、お父さんたちはいなかったの?壁の外にいたの?」

「そう、この街が襲われたとき、お父さんたちは壁外調査で壁の外にいたの。だから、戻ってきたときには遅かったんだ…」

私は二人にできる限り分かりやすく話をしたが、私自身も兵士を引退してからかなりの年月が経っているため、思うように話せなかった。

それに、私が現役だった頃の兵団のシステムと現在の兵団のシステムでは大きな違いがあるだろう。

組織内には多くの機密事項や情報がある。私はもはや兵士ではなく一般市民であるため、知る必要のないことについて知る必要はない。

私はふと現役で活動していた頃を思い出し、そっと負傷した片脚を撫でた。

一瞬、思い出したくない恐怖が心の中に溢れ出しそうになったが、顔を上げて深呼吸を繰り返し、その恐怖を紛らわせた。

「そっか…父さんたちがいれば、もっと多くの人が助かったかもしれないけど、一番悔しいのは父さんたちだよね。でもさ、この街の壊された門は大きな岩で閉じられているけど、すごいよなぁ」

「そうだね、どうやったんだろう…でも、おかげで僕たちはこうして暮らしているし、大変なこともあるけど、幸せだよ。壁の外には何があるんだろう…」

二人はそれぞれの意見を交換しながら話し合っている。私はその会話の中で耳にした二つの疑問に、一瞬眉をひそめた。

二人が疑問に思っていることは何よりも重要であり、私はそれを伝えられなかった。それは「巨人化できる人間が現れたこと」だ。

この問題は、大人の間でも賛否が分かれるテーマだ。伝えることは簡単だが、きっと問題の当事者は苦労しているだろう。

それならば、下手に教えて幼い二人に不安を抱かせたくない。二人も「大人の事情」くらいは理解できるだろう。

そして、ルアの「壁の外には何があるのか」という疑問を耳にしたとき、私は心の中で大きなため息をついた。

その疑問が解消される日が訪れるときは、きっと、これまで以上の犠牲を払って得られた情報であろう。兵士として働いていた私も、常々そのことを疑問に思ってきた。

そして、何度も現実味がないと考えていた。それでも、「いつの日か」知る日が訪れるだろう。

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