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空を見上げた。

第5章 3。



かつて、現役の兵士として任務を遂行し、何度も「死」を目の当たりにしてきた。私自身も例外ではなく、いつ死んでもおかしくない状況に置かれていた。

それにもかかわらず、今、私は生きている。この世で一番「愛おしい人」に生かされ、その「愛おしい人」から離れた場所で新しい生活を育んでいる。なんとも皮肉な話だと思う。

決して私が歩んできた道を美化しているわけではないし、私にとって「リヴァイさんと共に過ごす時間」は生きがいそのものであった。私は常に彼の隣に帰るために、必死で生き抜いてきた。

そのため、壁外調査で巨人に襲われ片脚を負傷した際、医師から「復帰は不可能」と告げられた瞬間、私の中で何かが崩れていく感覚がした。

そして、何のために生きているのか分からなくなった。今まで「人類に心臓を捧げた兵士」として生きてきた時間の方が長く、兵士を辞めてからの「一般的な生き方」など想像すらできなかった。

当時の私は「片脚を負傷しただけで済み、命が助かったこと自体が奇跡に近い。助かった命を尊重すべきだ」と何度も自分に言い聞かせてきた。しかし、頭では理解していても、心が追いついていかず目の前が真っ暗になり、どうすればよいのか判断ができず悩み続けた。

現在、感覚を失った片脚は、ただの私の体の飾りのようになっている。自由に動くこともできず、人の手を借りなければまともな生活を送れない。兵士を辞めてから、生きているのに生きていないような矛盾した感覚を抱いていた。家族がそばにいても、空虚な気持ちを抱いていた時期があった。

そのため、当時、片脚を負傷して間もない頃、まだ微かに脚の感覚があり、動かすこともできたため、「最後に少しでも役に立ちたい。捨て駒でも構わない」と、当時の団長キースとエルヴィン分隊長に伝えたこともあった。もちろん二人はその意見を飲むことはなかった。きっと、あの時の私は考えが整理できず、冷静な判断を下すこともできなくなり、自暴自棄になっていたのかもしれない。

この身体では、どんなに足掻いてもまともに立体機動装置を扱うことができず、戦闘は困難だっただろう。何かの役に立つ前に仲間の足を引っ張り、簡単に巨人の餌食になってしまうだろう。そして捨て駒にもなれず、ただ死ぬだけだ。

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