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空を見上げた。

第5章 3。



私は何よりも重要なことをリヴたちに隠している。それは、【リヴの父親は誰なのか】ということだ。
リヴの父親の存在を知っているのは、現在団長に就任したエルヴィン分隊長、ハンジ先輩、そしてシイナの三人だけである。

リヴにさえ教えていないのだから、ルアに教えるはずがない。ルアは生まれたときにはすでに父親がいなく、母親の手一つで育てられた。私も彼女に父親のことを詳しく聞いたことはなく、教えたくないこともあるだろう。

そのため、リヴとルアは父親の存在に執着している様子が見受けられない。何度も父親のことを教えなければならないと考えてきた。

それでも、何かと理由をつけて自ら打ち明けることを恐れ、リヴ自身が知りたいと思う日が訪れるのを待ち、問いかけられる日を待ち望んでいる。私はそんな自分に何度も嫌気がさしていた。

もし「父親は死んでいるのか、生きているのか…」と問いかけられる日が来たら、その時にははっきりと「死んではいない」と答えられる。それだけは変えようのない事実だ。

そう…リヴの父親は現在、【人類最強】と称賛されている「リヴァイ」だ。彼の身体能力は並外れており、早々に命を落とすことはないだろう。現在、彼は兵士長という地位に就任していると、シイナが職場で聞いた噂で知った。

私はその噂を聞いて心から安心した。彼は私にとって、家族とは異なる意味で何よりも大切な存在だ。必ず生き抜いてほしいと願っている

そして、彼はリヴの存在を知らない。兵士を辞める際、私が妊娠していたことも知らず、私たちが現在生きていてどこに住んでいるのかも分からない。エルヴィン分隊長とハンジ先輩にはリヴを妊娠していることを伝えたが、彼には伝えずに兵士を辞めて姿を消した。

私は兵士を引退する際、エルヴィン分隊長とハンジ先輩にだけリヴが妊娠していることを告げた。そして、身勝手な決断を下し、「言わないでほしい」と頼んだのだ。…きっと、いや、確実に私が下した決断は彼を深く傷つけるものだろう。そして、二人を巻き込んで傷つけたに違いない。

何を考えてこの決断に至ったのかと問われれば、曖昧な返答しかできず、明確な理由は一つもない。しかし、ただ一つはっきりと言えることは、情けないことに「怖気づいてしまった」ということだ。

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