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空を見上げた。

第21章 19。



「へぇー、今の王家って実は本当の王家じゃないんだ。王家の不正を暴くために駐屯兵団と調査兵団、さらに兵団のトップのダリス・ザックレーがクーデターを起こして成功した。あとは、まぁ他にもいろいろあるけど…」

朝食の席で、一番最初に食事を終えたシイナは、昨日の仕事帰りに貰ってきた号外に目を通し、興味深そうに呟いた。すると、リヴとルアは不安そうな表情を浮かべ、食事をする手を止めた。

二人は席を立ち、シイナに近づき号外を「見せて」と頼んだ。彼らは5歳という年齢にしては、同年代の子どもたちより読み書きが上手だ。

ルアは本好きが功を奏し読み書きができるようになり、リヴも嫌々教わっていた。その甲斐があって、一通りの読み書きができるようになっている。まだ難しい内容の理解には苦労しているが、説明すれば簡単に理解できる。

「父さん、大丈夫?怪我してる?」
「いや、お父さんのことは何も書かれていないよ。それに、お父さんは簡単に捕まるような人じゃないし、上手に逃げたんだよ。」

すると、シイナはそう説明しながら、不安そうな表情を浮かべているリヴを安心させるように微笑み、優しく頭を撫でていた。

ルアは何も言わずに号外に目を通していたが、それでもやはり紙面に載っている内容をすべて理解するのは難しいようで、リヴと同様に不安そうな表情を浮かべていた。

しかし、シイナはそんなルアの頭も優しく撫でて微笑みかけていた。

それから、二人はすべてを理解し納得したわけではないものの、ひとまず安心したような表情を浮かべ、自分の席に戻って再び静かに座り、朝食を食べ始めた。

私は二人に視線を向けた後、ふとシイナに目を移した。すると、その視線に気づいた彼女は一瞬眉をひそめたものの、すぐに優しく微笑んで頷いた。

それはまるで「大丈夫だよ」と言われているかのようで、私はその微笑みを見て、同じようにしっかりと深く頷き返した。

シイナは私とリヴァイさんが再会するまで、号外を持ち帰ることは決してなかった。

私が兵団やリヴァイさんに関する話題を避けていたの知っていたからだ。時折、職場でリヴァイさんの噂話を聞いて教えてくれたが、私たちは必要最低限のことしかお互いに話さなかった。

しかし、現在ではよく号外を持ち帰ってくるようになった。

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