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空を見上げた。

第5章 3。



何もうしろめたいことはしていないのだから堂々と打ち明ければいい。しかし、無駄なことだと理解していても、二人が生まれてからのこの5年間、口を噤んでいる。 かつて兵士を辞めた後、精神的に弱っていた私に、シイナとルアの母親は「誇らしい」と言ってくれた。

私が役に立てていたかどうかは別として、一般人である二人は、私が命を賭けていたこと、そして壁内で活動している駐屯兵や憲兵と比べて命を落とす危険性が高い任務に従事していたことの重大さをよく理解してくれていた。

兵士を辞めた当時、シイナは毎日のように「私たちを守ってくれて、頑張ってくれてありがとう」と励ましてくれた。その言葉に、私は何度も救われた。 そのおかげで、今こうして生活できている。

私自身も何も恐れる必要がないと理解しているが、それでも打ち明けられずにいる。 いつかリヴたちに私が兵士であったと知られたり、打ち明けたりしたとき、二人はどのような反応を示すだろうか。私はこれまで二人に巨人や兵士、兵団について詳しいことを一切話していない。

二人はまだ5歳で幼いとは言え、もう5歳になった。自分でできることを行動に移したくなる年頃だ。そう考えると、月日が経つのは思った以上に早いと感じる。そして私は今、すでに壁に囲まれた狭い世界の中で、二人の世界さえ狭めて狭めている。

そのことを申し訳なく思いつつも、なかなか打ち明けられず決断できずに先延ばしにしてしまうことが多い。そのため、今手元にあるこのマントも処分できないままでいる。できれば、今すぐにでも処分したい。

そして、私がかつて調査兵団の兵士であったことを知っている人物は、現在私が把握している限りでは5人だ。 当時の団長であったキース・シャーディス、現在は団長を務める、当時は分隊長だったエルヴィン・スミス、先輩であり親友でもあったハンジ・ゾエ、そして現在「人類最強」と称賛されているリヴァイ、さらに娘のシイナと今は亡きルアの母親を加えると、合計で6人になる。

もし他に私を知っている人物がいるとすれば、その人物は相応の地位にある役職に就いているか、兵士を引退している可能性が高い。そもそも私を知っている人物は主に調査兵団の兵士であるため、かつての上官や先輩、同期の大半は殉職しているだろう。

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