第20章 18。
そして、よく見ると、その場にいる全員が時折俺に視線を向けていることに気づいた。
俺はその場の雰囲気をなんとなく察し、持っていたティーカップを静かにテーブルのソーサーの上に置いた。
「なんだ、言いたいことがあるならはっきり言ってくれ。視線が気になって、ゆっくり茶も飲めねぇ」
俺はそう言いながら、腕を組んだ。
「あ、いえ…あの…」
「だから、何だ?はっきりしろ」
すると、コニーが口ごもった。その様子を見て眉をひそめ、言い募った。すると、ミカサ以外の全員が顔を見合わせ、頷き合った。ミカサはその様子を見て首をかしげている。
「えっと…あの…」
「何だ?」
コニーの次に声を上げたのはジャンだった。しかし、ジャンも話しづらそうに口ごもった。俺はその様子を見て、埒が明かないと思い、小さくため息を吐いた。
なんとなく、ミカサ以外の全員が気にしていることには察しがついている。それでも、なぜか自分の口から話を切り出すことができず、彼らが聞きたい話題について話し始めることができなかった。
少しでも思い出すと、話し始めてしまうと、必死に我慢している「寂しさ」を強く実感してしまうと思ったからだ。我ながらそんな自分を「情けない」と感じるが、仕方がないだろう。
「あの、こんなことをお聞きするのは失礼かもしれませんが、無事にさんと再会できましたか?」
すると、さすがに痺れを切らし、ジャンより先に口火を切ったのは、アルミンだった。アルミンは俺のことを真剣な表情で見つめ、静かな声で問いかけてきた。俺は「やはり、その話か」と思いながら、一度まぶたを閉じた。
それから、一瞬あの日のことを思い出し、の姿やリヴたちの姿、家族と過ごした時間を頭に思い浮かべた。すると、思わず口角が上がり、なぜかその場に緊張感が漂い始めた気がした。
まぶたを開いてその場を見渡すと、無表情のミカサ以外の全員の表情がなぜか顔面蒼白になっている。きっと、「聞いてはいけなかった」とでも思っているのだろう。俺はその場の緊張感を払拭するために深呼吸をし、口を開いた。
「ああ、会えたよ。なんだ、その顔は…削ぎ落すぞ」
俺が静かにそう言うと、その場の雰囲気は一瞬で和らいだ。しかし、コニーは目を見開き、口を開けたり閉じたりしていた。
「す、すみません!」