第20章 18。
そして、私は最近のリヴァイの様子を思い浮かべた。今の彼は非常に落ち着きがなく、忙しなく動き回っている。
現在、リヴァイは前回エレンがさらわれた戦いで、片腕を巨人に食われたエルヴィンの代わりに、執務作業など自分ができる限りのことを探して忙しく動き回っていた。
私とエルヴィンは「しっかりと休息を取っているのだろうか」と心配し、時折、声をかけている。しかし、彼は「問題ない」と一貫して言っていた。
それでも私たちは、「本当に大丈夫なのだろうか」と内心、心配を募らせている。しかし、肝心なときには動けるように自己管理ができていると思っているし、今の彼が抱いている気持ちも理解できるため、自由にさせておくことにした。
「ハンジさん、俺たちが聞けると思いますか?」
「え?聞いちゃいけないの?気になるでしょ?」
すると、エレンは箒を持って掃き掃除をしていた手を止め、顔をしかめた。そして、肩をすくめながら問いかけてきた。私はその質問と彼の様子を見て、再び首を傾げた。
「それは…まぁ…そうですが…」
そして、エレンは口ごもりながら「無理ですよ」と小さな声で呟いた。私とリヴァイが一悶着あった日、ヒストリア以外のメンバーは、その場にいた。
そして、彼らは私の話を親身になって聞いてくれた。私は彼らと過ごした時間や言葉に励まされ、リヴァイと向き合うことができたのだ。
私にとって、エレンたちは恩人と言っても過言ではない。リヴァイもあの日、あの場にエレンたちがいたことに気づいていたはずだ。
彼には、私がエレンたちと交わした会話までは伝えていない。しかし、迷惑をかけてしまった当事者として、「その後」に起こったことを知る権利はあると思っている。
「聞いてはいけない内容」ではないし、むしろ、聞いた方が良いと思っている。実際に私がリヴァイとが再会した日の話を聞いたとき、自分が二人が再会するまで抱いていた「恐怖心」が「安心感」に変わった瞬間を今でも覚えている。
しかし、エレンたちは事情を知りつつも、上官のプライベートに踏み込むのが容易ではないことを理解しているのだろう。
私は現在、「護衛」という任務で長時間緊張を強いられているため、一瞬でも良いので肩の力を抜ける瞬間を作っても良いのではないかと考えた。