第19章 17。
そんなことを考えても意味はないけれど、今抱いている感情や名残惜しさも、今は愛おしく思えてきた。それは、今の私が、幸せである証なのだろう。
そう思いながら、最後にもう一度夜空を見上げ、目の前に広がる空へ手を伸ばした。リヴァイさんと再会するまで、何度も手を空に伸ばしたが、その手は彷徨い続け、何も掴めなかった。
それでも今日、この手は確かに再びリヴァイさんに触れたのだ。今、今日の体験を胸に強く刻み、「おかえりなさい」と言える日を祈り待ちながら、夢を見よう。
そして、しばらくの間、少し肌寒い夜風に吹かれながら夜空を見上げ、今日一日リヴァイさんと過ごした時間を振り返り、思いに耽った。
しばらくして、埒が明かないと思い、一度苦笑した。それから杖を突き、ゆっくりと歩き、その場を後にして家のドアを開け、室内に入った。
私が室内に入ると、リヴとルア、そしてシイナがテーブルを囲んで座り、深刻そうな表情を浮かべていた。三人は一瞬私の顔を見て、目を見開き、言葉を失い驚いていた。
そして、私の姿を見ると、素早く席を立ち近寄ってきた。それも無理もないだろう。今の私は泣きすぎで目が腫れ、見るに堪えない顔をしているに違いない。
しかし、一瞬私のもとに近寄るのを躊躇っていたリヴとルアは、恐る恐る私に近づき、強く抱きしめてきた。私はその姿を見て、子ども特有の香りと温もりを感じ、そっとまぶたを閉じた。
それからまぶたを開けると、再び視界が滲み始めた。リヴたちを抱きしめたまま室内を見渡すと、これまでと何一つ変わり映えしない我が家であるにもかかわらず、大きく様変わりしてしまったように感じた。
室内に視線を巡らせると、テーブルの上にリヴァイさんが紅茶を飲むために使っていた私のティーカップが目に留まり、ついさっきまで彼がここにいたという現実を突きつけられた。
「(さっきまで…一緒にいたのにな…)」
私は心の中で呟き、リヴたちに気づかれないように小さくため息をついた。もう涙は溢れないだろうと思っていたが、視界はますます滲み始め、室内が霞んできた。
「母さん?」
「大丈夫?」
すると、私に抱き着いていたリヴとルアが、恐る恐る私を呼び、気遣ってくれた。