第19章 17。
私は自分が思っている以上に二人の成長を感じ、感慨深い気持ちを抱いた。
そして、リヴとルアが幸せそうにリヴァイさんに接する姿を見て、リヴァイさんがそんな二人に優しい表情を浮かべて接している姿を見守っていた。
その後、改めて母親として、父親と息子の絆を感じ、男同士の世界を邪魔しないように静かに見守ることの大切さを実感した。
それからルアも落ち着きを取り戻し、私たちはそれぞれ思い思いの時間を過ごしていた。私とシイナは解れた衣類を直したり、ルアは読書を再開し、真剣な表情で読んでいる。リヴは読書に飽きてしまったのか、テーブルに腕を組んで顔を埋めて伏せて微睡んでいる。
そして、穏やかな空気が漂うその場に、紅茶を飲んでいたリヴァイさんが、カチャリとカップを静かにソーサーの上に置く音が、穏やかな雰囲気の漂う家族団欒の場に、やけに大きく響き渡った。
その瞬間、解れた衣類を直していた私の手が止まり、全身に緊張が走り、体が強ばっていくのを感じた。
「(ああ、時間が来てしまった…)」
私は心の中でそう呟きながら俯き、衣類と針を持つ手が震え始めた。
そして、思わず今ある現実から目を逸らすようにまぶたを閉じ、少しでも気持ちを落ち着けるために小さく深呼吸を繰り返した。
心から安心と幸せを抱き、時間を忘れて過ごせた日は、今日が初めてかもしれない。兵士だった頃、彼の側にいても、心の片隅には「死」という言葉の存在が常に近くにあった。
死ぬ覚悟はしていたし、任務で命を落としたとしても、兵士を志願した時点でそれは本望で仕方のないことだと割り切っていた。
それでも今は違う。私は改めて「また明日」と口に出せない現実が、これまで以上に恐ろしいことだと実感していた。
リヴァイさんはカップをソーサーの上に置いた後、しばらくの間その場から微動だにせず、背もたれに腕をかけたまま黙って何かを真剣に考えているようだった。
時折、無表情だった顔をしかめ、何かを噛み締めている様子が見られた。すると、父親の様子がおかしいことに気づいたリヴは、テーブルに腕を組み顔を伏せて微睡んでいた顔をゆっくりと上げて「どうしたの?」と問いかけた。
そして、リヴの隣に座り集中して読書をしていたルアもその言葉を聞き本から視線をリヴァイさんに向けて、本にテーブルの上にある栞を挟んで閉じると不思議そうに首を傾げた。
