第19章 17。
抱きしめられたルアは涙を流し、その涙は簡単には止まらなかった。リヴァイさんは時折、嗚咽交じりの小さな声で「お母さん…」と言うルアを抱きしめ続けた。
そんな二人の様子を目にしたリヴは、悔しげに顔をしかめながらルアの手を強く握りしめていた。誰よりも早く父親の言葉の意味を理解したのだろう。ルアの手を握っているリヴの手はかすかに震えていた。
私はその三人の様子を見つめながら、表現しがたい感情に支配されていた。私たちがいくらそばにいても、慰めても、ルアにとってリヴァイさんからの言葉をかけてもらうことは、その重みは大きく異なる。
普段、調査兵として巨人と対峙する機会が多いリヴァイさんの言葉は、何よりも重みがあったのだろう。久しぶりに聞いたルアの泣き声は非常に切なく、私たちの胸を強く締めつけた。
それでも、その泣き声はこれまで私たちが聞いてきたものとは少し異なり、安心感が含まれているように感じられた。
そして、泣き止んだルアはリヴァイさんに「ありがとう」と笑顔を向けた。リヴァイさんはその笑顔を見て、心から安堵したような表情を浮かべ、ルアの頭を優しく撫でていた。
その後、今まで私たちが見てきた中で一番晴れやかな笑顔を私たちに向けてくれた。それから、私とシイナ、そしてリヴを順番に抱きしめ、「ありがとう」と言いながら満面の笑みを浮かべていた。
その時、ルアは誰よりも強くリヴを抱きしめていた。その瞬間、リヴは一瞬泣きそうな表情を見せたが、すぐに表情を切り替え、同じように満面の笑みを浮かべて抱きしめ返していた。
私はその二人の様子を見ながら、「やっぱり仲が良い」と心の中で呟いた。
普段は喧嘩をしていることが多いが、肝心な場面では「強い絆」で結ばれていることが容易に理解できる。理解し合っているからこそ、互いに遠慮せずに向き合えるのだろう。
大人でも難しいことを当然のように行動に移せるのは、まだ5歳で幼く世間を知らないからなのだろうか。
いや、年齢や世間体は関係なく、きっと二人は自分たちのやり方でこれからも共にさまざまな経験を積み、どんなことがあろうとも変わることのない絆を胸に乗り越えていくのだろう。