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空を見上げた。

第19章 17。



これまで、二人が食事の量について不満を漏らしたことは一度もなかった。そもそも最初から、二人には自分たちの分を分けて与えていたのだ。

そのことに気づいていたかは定かではないが、今の様子を見ると、二人が心の中で私たちに気を使い我慢していたのが分かる。決して大きくはないパンを嬉しそうに食べる二人の姿は非常に愛らしかった。。

私は「食べられない」ということを苦痛に感じたことは一度もない。兵士としての経験から、その感覚は体に染みつき、すっかり慣れてしまっているのだ。

そのため、今、手に持っているパンを口にすることに躊躇している自分がいる。

目の前で嬉しそうにパンを食べているリヴたちの姿を見ると、「このパンをあげれば、もっと喜んでくれるし、笑ってくれるだろう」と考えてしまう。

そう思いながら隣に座っているシイナに視線を向けると、彼女も同じようにパンを持ち、パンとリヴたちを交互に見つめていた。彼女もきっと私と同じ気持ちなのだろう。

しかし、ふと視線を感じてその先を辿ると、リヴァイさんが黙って私たちを見つめている。その瞳は「食べろ」と訴えているようだった。

私たちはその瞳の圧に負け、恐る恐る手に持っているパンを小さくちぎって、スープに浸して食べた。

その時、食べたパンは非常に美味しく、普段と変わらない食事であるにもかかわらず、特別なもののように感じられた。私とシイナは顔を見合わせて微笑んだ。そして、リヴァイさんは私たち4人が食べている姿を、小さく微笑みながら見守っていた。

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食事が終わり、片付けをしようとした私たちをリヴァイさんが「座っていろ」と制した。

そして、リヴァイさんは率先して片付けを始め、その姿を見たリヴたちは珍しく自ら手伝いを始めた。そのため、やることがなくなった私たちは椅子に座り、目の前の光景を見つめ、驚きで開いた口がなかなか塞がらなかった。

「リヴ、水飛ばさないで!それに、これ、まだ汚れてる!」
「飛ばしてないし、ちゃんと落ちてるよ!」
「僕の服を見れば分かるでしょ!?ちゃんとやってよ!」

「やってる!うるさい!落ちていないなら、お前がまた洗えばいいじゃん!」
「なにそれ、意味がわからない!」

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