第19章 17。
この子は普段から誰よりもルアを思いやり、大切にしているのだ。常に二人は友人や家族という垣根を越え、互いを誰よりも思いやり考えている。その姿勢は5歳の子どもとは思えないほど立派だった。
私はそんな二人の様子を微笑ましく思い、見守っていた。すると、いつの間にか二人は食事を終え、リヴァイさんから聞いた話で盛り上がっていた。
決して食事の量が少ないわけではないが、やはり食べ盛りの子どもであることは変わりない。今日は特にテンションが上がっているのだろうか、本人たちも気づいていないのか、食べる速度がいつもよりも早かった。
私とシイナはその光景を微笑ましい気持ちで見つめた後、お互いに顔を見合わせて頷き合い、静かに二人の空になった皿に自分たちの手を付けていないパンを置こうとした。その時だった。
「お前ら、これを食え」
リヴァイさんがそう言い、自分が食べていない二つのパンを二人の皿に置いた。
「え?でも、それは父さんの分だよ?」
「お父さんもちゃんと食べないとダメだよ」
すると、二人は話すのをやめ、皿の上のパンとリヴァイさんを見比べて、不思議そうに首を傾げた。
「いいから、食え。これからは、俺が家にいるときは俺の分を食べるんだ。いいな」
しかし、リヴァイさんはリヴたちの言葉に首を左右に振り、真剣な表情を浮かべてそう言った。そして、一度私とシイナに視線を移し、すぐにそらした。二人は私たちに向けられた視線に気づかず、黙って皿の上のパンを見つめていた。
私たちはその光景を見て少し眉をひそめたが、彼の考えを汲み取り、感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。
すると、やはり足りなかったのだろう。二人は恐る恐る「食べていいの?」と声を揃えて尋ねると、リヴァイさんは深く頷き、小さく口角を上げた。その表情を見た二人は、嬉しそうにパンを手に取り、食べ始めた。
「もう少しゆっくり食べろ」
「「ふぁーい!」」
「食べながら話すな」
「「ふぁーい!」」
リヴァイさんはそう言い注意しているが、頬杖を突きながら穏やかな雰囲気を漂わせ、パンを頬張りながら息を合わせて返事をする二人を見つめていた。私はその光景を眺めつつ、静かに、自分の分のパンに手をつけた。