第19章 17。
それでも、恐怖心に負けて再び目を逸らしてしまえば、これまでのように同じことを繰り返してしまうだろう。それだけは絶対に避けたいと思いながら、今は何も考えず、目の前にある現実を「当たり前」と思わずに大切に向き合い、受け入れていこう。
私はそんなことを考えながら、食器棚から器を取り出しテーブルに並べていく。すると 家の外が騒がしくなり始めた。きっと 馬に乗って帰ってきたのだろう。
楽しそうにはしゃいでいるリヴたちの声と「騒ぐな、落ちるだろうが」と呆れた様子で言うリヴァイさんの優しく穏やかな声が聞こえてくる。
私は三人の気配を感じ声に耳を傾け安心感を覚えながら、出迎えるために杖を突きながらゆっくりと家のドアへ向かった。
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夕食のメニューはいつも同じで、特別な料理ではない。食糧難が続いている今の状況では、贅沢はできない。
それでも、少しでも幼いリヴたちにはお腹いっぱい食べさせてあげたいと思っている。しかし、そうできないときも当然ある。そんなときは、私とシイナの分を二人に分けていた。
そして、今日は初めてリヴァイさんを含む5人家族での夕食だった。彼は出された料理に決して文句を言わず、むしろ「十分だ」と言った。
そして、一見すると分かりづらいが、美味しそうに食べてくれていた。その言葉と様子に、私とシイナは安心し胸を撫で下ろした。
夕食を食べ始めると、リヴは楽しそうに目を輝かせながらリヴァイさんに色々な質問をしていた。しかし、最初、リヴは私に遠慮して顔色をうかがっていた。私はそのリヴの様子を見て「もう、いいのよ」と言って笑うと、リヴは安心したように微笑んだ。
「すげぇなぁ!立体起動装置があれば、あの高い壁の上にも登れるんだよ!?」
「僕たちには使えないよ。まだ子どもだもん」
「知ってるよ!俺は父さんが使っているのを見たいの!」
リヴは楽しそうに立体起動装置について話し、ルアはその話に冷静なツッコミを入れる。そんな他愛のない会話が何度も二人の間で繰り返されていた。
話し合う二人はとても生き生きとしており、年相応の可愛らしい姿を見せていた。しかし、リヴはリヴァイさんに「巨人について」の話題には一切触れず、尋ねることもなかった。
きっと、ルアのことを考えているのだろう。私たちはリヴのそのような気遣いに心から感心していた。
