• テキストサイズ

空を見上げた。

第19章 17。



一口飲んだ後、カップをソーサーの上に静かに置くと、彼は私の手を優しく握り、小さく微笑んだ。

「……」

リヴァイさんは静かに、しかしはっきりと私の名前を呼んだ。

「はい…」

私はリヴァイさんに顔を向けて返事をすると、彼は私の手を強く握り、視線を窓の外に移し、まぶたを閉じた。

「ありがとう」

リヴァイさんの口から零れたその言葉は、とても優しく温かいものだった。しかし、その言葉を誰よりも受け取る必要があるのは、リヴァイさん自身だ。そして、シイナ、リヴ、ルアもそうだと思いる。

私はそう考えながら一度深呼吸をし、握られた手を強く握り返し、同じようにまぶたを閉じた。

「いいえ、それは私のセリフです。ありがとうございます」

私はまぶたを開き、微笑みながらそう伝え、同じように窓の外に視線を移した。

「ありがとう」と「ごめんなさい」は相手を思いやる、非常に大切な言葉だ。しかし、大切な言葉だからといって使いすぎるとその言葉の重みが薄れてしまう。

そのため時と状況を、見極めて使うべき言葉だ。そして今、私たちが交わした「ありがとう」という言葉にはさまざまな感情が込められているように感じた。そして、私たちはその言葉と共に「新しい未来」への第一歩を踏み出した。

相変わらず庭から聞こえてくる三人の声は騒がしい。これまでもその騒がしさは日常の一部であり、その中にリヴァイさんの存在があるだけで、こんなにも感慨深い気持ちを抱くとは、思わなかった。

私は隣にいる愛おしい人の存在と温もりを確かめるように、握り合っている手を再び強く握ると、優しくしっかりと握り返された。そのことに心からの安心感を抱き、心に愛おしさが募った。

----。

その後、結局シイナが懸命にリヴたちの喧嘩の仲裁に入ったが、いつもと変わらず、そう簡単に収拾がつかなかった。

すると、それを見かねたリヴァイさんがリヴたちの気を紛らわせるために「近くの民家に預けた馬を引き取りに行く」と提案したことで、二人の意識がそちらへ逸れ、あれほどシイナが苦戦していたのが嘘だったかのように、リヴァイさんと三人で楽しそうに出かけて行った。

/ 288ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp