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空を見上げた。

第18章 16。



一度、姉さんに視線を向けると、緊張している様子で、何を考えているのか判断できない表情を浮かべていた。それでも、帰宅したときの反応を見れば、「姉さんはこの男性を知っている」と瞬時に理解できた。

「えっ…と、何から話せばいいのかな。うーん、いろいろ話さなければならないことがあるんだけど、さっきも説明した通り、母さんは昔、調査兵団の兵士だったこと。その時に脚を怪我したこと。それで、これは一番大切なお話だから、リヴ、しっかり聞いてね?」

しばらくの間、室内には妙な緊張感が漂っており、母さんは何から話せばよいのか逡巡した後、一度深呼吸をし、意を決したように俺の目を真っ直ぐに見つめて話し始めた。

「ぅ、うん…分かった」

俺は話を聞きながら、最後の「大切な話」という言葉を耳にした瞬間、自然と背筋が伸び、繋いでいる手に力が入った。

「さっき、リヴは「父さんがいない」って言ったよね?確かに、これまで父さんの話をしたことはないし、父さんも最近までリヴの存在を知らなかった。会ったこともなかった。それでも、今日、リヴとあなたのお父さんは、やっとお互いに「初めまして」ができるんだよ」
「えっ、それじゃあ、やっぱり…」

母さんは俺の目を真っ直ぐ見つめ、最初は真剣な表情で話していたが、話し終わる頃には優しい表情を浮かべ、俺の顔と男性を交互に見つめていた。

俺はその話を聞き、その様子を見た瞬間、今日何度目になるか、目を見開き言葉を失ってしまった。

母さんの話が真実であれば、俺の父さんは「存在していた」。

これまで一緒にいなかったり、住んでいなかったことには何か理由があるのだと思っていた。最悪の場合、もうこの世にはいないのではないかと嫌な想像もしていた。それでも、母さんの様子から、俺の父さんはー

「とぅ…さん…?」

俺は最後に強くルアの手を握り返した。そして、目の前に座る男性を真っ直ぐ見つめ、全身から絞り出すように言葉を発して問いかけた。すると、男性は手に持っていたティーカップを静かにテーブル上のソーサーに置き、頷いた。

「あぁ、初めまして。リヴァイだ。お前の父さんだ、リヴ」
「本当に…本当に、俺の父さん!?」
「あぁ、父さんだ」

男性は静かな口調と声で自己紹介をし、テーブルの上に両手を置き、握りしめた。

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