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空を見上げた。

第18章 16。



俺は両腕に埋めていた顔を咄嗟に上げて再びルアに問いかけると、ルアは「バン」と音を立てて本を閉じ、今度こそ「呆れ」を通り越して「苛立ち」を含んだ視線を向け、声で返事をした。

俺は顔をしかめ、ルアの顔を真っ直ぐに見つめて首を傾げた。ルアに聞いても分からないことは十分に理解している。言われた通り、俺もルアの父親に会ったことはない。

俺たちが互いの父親を知らないのは当然だ。そして、俺たちはお互いの父親について、これまで一度もお互いの母親や姉さんに問いかけたことがなかった。

「それはそうだけど、じゃあー」

ルアはテーブルの上に本を置いて閉じ、不機嫌そうに片肘をつき頬杖をついた。俺は、その姿を見て、同じように頬杖をついた瞬間だったー

俺の言葉を遮るように、家のドアが静かに開いた。その瞬間、俺たちは同時に家の入口に視線を向けた。

すると、そこには母さんが男性と立っていた。

男性の背丈は母さんより少し高い程度で、特別大きいとは言えなかった。しかし、母さん自身が小柄なため、比較すると男性は大きく、体格も良かった。

母さんたちの表情は、背後から室内に差し込む外の日差しの明るさで逆光になり、判断できなかった。それでも、母さんから漂う雰囲気や少し俯いている様子から、普段とは異なる何かを感じ取った。

「リヴ、ルア…おいで?」

俺たちはしばらくの間、母さんたちの様子を伺っていた。すると、静かに名前を呼ばれた。俺たちは一度顔を見合わせ、小さく頷き合い、椅子から降りて二人で手を繋いだ。不思議なことに、俺たちは不安や緊張感を抱くと手をつなぐ癖がある。繋いだ互いの手はかすかに震えていた。

母さんたちと俺たちとの距離は大して空いていないはずなのに、非常に遠く感じてしまい、思わず近づくのを躊躇ってしまう。それでも、同じように不安と緊張感を抱いているはずのルアは毅然として、俺の手を強く握りしめて連れて行ってくれた。

そして、俺は母さんの目の前まで来て俯いた。聞きたいことや言いたいことは山ほどあるはずなのに、言葉が何も思い浮かばず、口から出てこなかった。

室内には不気味な静けさが広がっており、先ほどまで感じていなかった居心地の悪さを強く実感していた。

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