第17章 15。
7年間離れていた間にできてしまった俺たちの間の壁を壊す。誰にも邪魔はさせない。邪魔なもの、無駄なもの、必要のないものはすべて排除する。
「は生きていた。この先も生き続けてくれる」その事実がある限り、あとはその現実にできるだけ俺の存在を加えることだけだ。
と出会わなければ、自分の中にある「失う恐怖」に気づき、向き合うこともなかっただろう。仲間たちが無残にも命を落としていく悔しさや痛みを感じたとしても、ここまで大きな感情になっていたかは定かではない。
「…ここに…お前のもとに帰ってきても…いいか?」
俺は震える声でそう伝えた。今、世間では「人類最強」と称賛されている男が、情けなくも一人の女に乞う姿は滑稽に映るかもしれない。それでも、今もこれから先もなりふり構っていられない。
の前では何の称賛も必要ない。ただの「リヴァイ」という男でありたい。
はそんな俺を尊重し、愛してくれる。それを俺自身が誰よりも信じ、理解している。そう思いながら、すべては自己満足の世界なのだろうと考えたとき、改めて情けなく虚しい感情を抱いている自分自身と向き合った。
それでも、もういいのだ。情けなくても構わない。俺はの元へ帰ってくる。誰に何を言われても、恨まれたとしても、この小さくてか弱い存在を、誰よりも愛おしい存在を、目一杯感じるために帰ってくる。
「はぃっ!帰ってきてっ…どんなあなたでも構いません!約束も何もいりません!帰ってきてっ!待っています!私の帰る場所はあなたです!だから、あなたの帰ってくる場所はっ…」
俺は一瞬、何を言われるのか息をのんだ。しかし、の口から出た言葉は俺を拒絶するものではなかった。それは、これまで抱えていた心からの叫びと望みであった。
その言葉を聞いた瞬間、俺のさまざまな感情が心の中から溢れ出し、全身を駆け巡っていく。その感情一つひとつに名前をつけることは不可能だ。
それでも、ただ一つしっかりと名前をつけられる感情がある。それは昔も、今も、これから先も決して変わることはないだろう。「愛してる」、それだけだった。