第17章 15。
それでも、実際に離れていた7年間のことは「済んだこと」として受け入れるしかない。そして、これからの「未来」を何よりも大切に考えていく。
未来は自分の言動次第でどうにでもなる。変えていくことができるのだ。考えすぎてしまうことは仕方がない。しかし、どこかで見極めて線を引かないと、俺たちは何も変わらず、前を向いて共に歩んでいくことはできないだろう。
俺はそう考えながら、抱きしめている温もりを感じ、嗚咽を耳にしつつ背中を撫で続けた。そして、ごちゃごちゃと考えすぎている自分に対して「ガラじゃねぇな」と心の中で呟いた。そして、のすべてを感じるために抱きしめ、深呼吸をした。
トクントクンと、お互いの心臓の鼓動が重なり、規則正しいリズムを刻んでいる。その事実が今、何よりも幸せで嬉しい。
「、ありがとう…生きていてくれてありがとう」
俺はそう言い、抱きしめた体を離し、涙で濡れたの瞳を真っ直ぐ見つめた。すると、は俺の言葉を聞き、手の甲で涙を拭わず何度も強く深く頷いた。
そして、再び体を寄せ合い抱きしめ合った。
「(温かい…生きている…が生きている…)」
俺は心の中で何度も呟きながら、を強く抱きしめたまま、ふと空を見上げた。
頭上に広がる青空は非常に美しく、儚い色合いをしていた。
しかし、その色は、が姿を消して以来、色褪せていた俺の人生にとって、何よりも鮮やかな色となった。
「、顔を上げろ」
俺はそう言いながら体を離し、腰に手を添えた。すると、は涙を拭うこともせず、同じように空を見上げた。
「見てみろ、空が青いな」
「っ!はぃっ…はい!いつも、どんなときでも、あなたと見上げる空は綺麗です!」
俺たちはそう言い、二人で寄り添いながら「空を見上げた」。
他には何も望まない。これから先、俺たちが共に歩んでいく道のりは決して楽なものではないと理解している。それでも構わない。昔から、どんな時でもできるだけそばにいると心に誓ってきた。どんな道のりであろうと、覚悟はできている。そして、この空の下で再び共に生きていけるのなら、何でも乗り越えていける。
「(あぁ…やっと…この手に…)」
俺はそう思いながら、再び強くの体を抱きしめた。