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空を見上げた。

第17章 15。



しばらくの間、強く抱きしめていたが、俺はそっとその抱擁を解き、両手での頬を撫でながら、の存在を確かめるように優しく額を寄せた。

間近で見たの姿は、あの頃と大きな変化は見られない。短かった髪は伸び、少し大人びて、時折母親の表情を浮かべるのを除けば、何も変わっていない。

それでも、全く変わっていないわけではない。抱きしめたときに感じた胸を締め付けるような切なさは、俺が知っている彼女とは明らかに体が小さく細くなったことが原因だった。

昔の彼女は身長が低かったが、兵士として活動していたため筋肉がついており、健康的だった。そのため、現在の彼女の細い体からは、十分な食事と栄養が摂れていないことが伺える。

それもそうだろう。この壁の中やトロスト区では、巨人の襲撃以降、食糧難が続いている。最低限の食事しか摂れない日々が続いているのが現状だ。

もし、が一人であれば、必要最低限の食料で困ることはないかもしれないが、子どもがいるとなれば話は変わってくる。自分が食べる分を、食べ盛りの息子たちに分け与えるのは、母親として当然のことだろう。

そして、兵士としての経験から、「食べられないこと」を我慢することには慣れているはずだ。それでも、抱きしめた時の細さは想像以上だった。

俺は胸を締め付ける切なさを紛らわせるために、再びまぶたを閉じて、すぐに開いた。辛い現実を目の前にしても、一瞬たりとも「が生きている」という現実から目を逸らしたくなかった。

俺たちは何も言わずに額を合わせたまま見つめ合った。お互いに目を逸らすことはなかった。

の見つめる瞳には「驚愕」と「戸惑い」が宿っており、溢れ出る感情は一度溢れると止まらないほどだった。そして、微かに涙の膜が張っており、瞬きをすればすぐにでも涙がこぼれ落ちそうなほど、瞳は潤んでいた。

お互いに何も言わずに見つめ合っている。いや、かける言葉が何も思い浮かばないのだ。

考えようとすると、瞬時にそれを忘れてしまう。言いたいことは山ほどあるはずなのに、今は何も言わず、考えずに目の前の「存在」だけを何よりも感じていたいと思っていた。

すると、の瞳から涙がこぼれ始め、頬を伝って流れ
落ちていった。

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