第17章 15。
しばらくの間、その場から動かずに二人の様子を観察していると、何度も「手伝え」「無理だ」という無邪気な子どもたちの言い合いが続いていた。
しかし、その様子からは嫌な感情を抱くことはなく、息子と少年の仲の良さを感じ、血の繋がりはないと聞いていたものの、まるで実の兄弟のようだと感じていた。
時折、優しい風がその場を吹き抜け、干されている洗濯物を包み込んだ。その瞬間、姿が見えなかった洗濯物の陰から、少し明るい髪をした小柄な少年が現れた。
少年は俺に背を向け、息子に文句を言い続けており、その声色は耳に心地よく響いてくる。
そして、その声に対して文句を言い返す、少し生意気とも受け取れる息子の言葉が響いた。子どもの騒ぎ声がここまで心地よく感じられたのは、俺にとって初めての経験だ。
「ねぇ、手伝って!」
「だから!無理!忙しい!」
「寝転んでいるだけで、どこが忙しいの!?」
「見ればわかるだろ!」
「分からないから聞いてるの!」
俺は、他愛のない子どもたちの口喧嘩に思わず口角が上がってしまった。しかし、息子の姿は未だに視界に入らず、少しもどかしく感じていた。
息子は俺に似ているのだろうか、それともに似ているのだろうか?できることなら、俺ではなくに似てほしい。それでも、男でも女でも、きっと変わらず可愛いだろう。
そう思いながら腕を組み直し、寄りかかっている壁に体勢を整え、再び寄りかかり、まぶたを閉じ、庭で繰り広げられている他愛のない子どもたちの口喧嘩に耳を澄ませていた。
周囲の街の雰囲気はとても静かで、余計な雑音はなかった。そのため、現在この場にいるのは俺と子供たちだけだ、という錯覚を覚える。
そして、目の前に広がる光景は、「いつの日か」平和になったこの世界で、俺たち二人が作りたかった未来そのものであった。
当時は未来のことなど想像すらしていなかったが、実際に目の前に存在する現実を少しずつ受け入れていくうちに、感慨深い気持ちになった。
その中で「俺がそばにいない間、俺の分もこの他愛のない日常を守っていてくれたのか」というへの感謝の気持ちと愛おしさが胸を締め付ける。
しかし、その胸の締め付けが息苦しさに繋がることはない。むしろ、俺の中で名付けるのが難しい感情が一つずつ形を成していく。