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空を見上げた。

第17章 15。



そんなことを繰り返しながら、目的地の近くまで来ると、このまま馬を連れて行くわけにはいかず、周囲の民家を訪ねることにした。すると、尋ねた民家の主人は「こんな場所に、あのリヴァイ兵長がいらっしゃるとは」と驚いていた。

それでも、快く馬を預かってもらうことができた。驚くのも無理はないだろう。この場に辿り着くまでに道を尋ねた住民も俺の存在に驚き戸惑い、外で遊んでいた子どもたちは滅多に見かけることのない馬に物珍しそうな視線を向けていた。

以前の俺なら子どもたちの言動を気にも留めなかっただろうが、その子どもたちを自分の息子の姿と重ね合わせると、自然と心温まる気持ちが全身に広がっていく。

馬を預けたことで手ぶらになった俺は、手持ち無沙汰を感じながら、先ほどよりも少し早く歩き始めた。

庭付きの一軒家とのことだったが、それなりの大きさの家を想像していたものの、周囲にある民家と大して変わらず、普通の住宅だった。

俺は気配を殺し、静かに庭に近づいた。この時間、
は何をしているのだろう。息子は何をしているのだろう。そう想像を膨らませながら、隣の家の壁に身を潜め、腕を組み寄りかかり、様子を伺おうとした…その瞬間

「ねぇ、リヴ、手伝ってよ!」
「えー、だって、俺の背の高さじゃ届かないし、今、忙しいー」

「僕と君の背の高さってそこまで変わらないし、僕たちでも届くように台があるじゃん!それに、忙しいってさ、ただ昼寝してるだけなのに…」

今、俺の目の前には、洗濯物を干しながら不満を漏らしている少年と「リヴ」という少年がいる。その名前を聞き、息子であると確信した。洗濯物を干しながら文句を言っている少年は、ハンジが言っていたが引き取った少年だろう。

そして、息子とその少年が言い争っている光景が広がっていた。残念ながら、一人の少年は干されている洗濯物の陰に隠れており、息子は地面に寝転んでいたため、その姿を見ることはできなかった。

それでも、これまで抱いたことのなかった感情が全身にゆっくりと広がっていくのを感じた。

もう少しこの場所から庭に近づけば、二人の姿をしっかりと確認できるだろう。しかし、なぜか体はその場所から動かず、穏やかな気持ちを抱きながら佇んでいた。

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