第17章 15。
そのため、あの日以降、エルヴィンとハンジは俺にこれまで隠してきたことを深く話すことはなかった。俺の性格を理解しているからこそ、過ぎ去った「過去」よりも、これから訪れる「未来」に重点を置いているのだろう。
俺は肩に置かれているエルヴィンの大きくて優しい温もりを感じる手の感触を感じながら、まぶたを閉じた。
もう、今は何も考えないことにしよう。すべては、に会いに行き、その時の状況やが抱いていた感情、これまでの過ごし方を見極めた上で、俺一人ではなくと共に話し合い、結論を出そうと思う。
俺はそう考えをまとめ、最後にもう一度手に持っている紙に視線を移し、ジャケットの胸ポケットにしまった。そして、小さな声で「そうだな…」と呟いた。
――――。
「この辺りだと思うんだが…」
俺はゆっくりと歩く馬の背に乗りながら、紙に書かれた目的地を探し、トロスト区の街はずれまで来ていた。周囲を見渡したが、残念ながらこの地域に土地勘がないため、なかなか目的地にたどり着けないでいる。
トロスト区の土地は決して狭くなく、多くの建物が存在する。そして、巨人の襲撃を受けた結果、多くの建物が崩壊し、襲撃前と比べるとトロスト区の街並みは大きく変わった。
そのため、現在俺がいるこの場所に辿り着くまでに、何人かの住人に話を聞いてきた。
「静かだ…」
周囲を見渡しながら静かに呟き、何度も視線を巡らせた。街外れということもあり、道は入り組んでおり、建物も密集している。この場所に来るまで、大小さまざまな道を何本も進んできた。
そして、気が付くと、街の中心部からかなり離れた場所にいることに気づいた。周囲の街並みを何度も見渡したが、体が不自由なにとって、ここは暮らしやすい場所だとは到底思えなかった。
子どもが遊べる場所もなく、買い物に行くにも時間がかかるため、体が不自由な人には不便であり、幼い子どもにとっても遊び場がなく、退屈に感じる場所だった。