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空を見上げた。

第17章 15。



「会わないほうがいい」と思えば思うほど、「会いたい」という感情が溢れ出し際立ってくる。その感情を天秤にかけたとき、はっきりと片方に傾かないことに、半ば苛立ちを覚えている。

それでも、現在抱えている感情を他人に押し付けたり目を背けたりすることはできない。不安に思っている自分もまた自分自身なのだ。

「ふっ…確かに、そう思うのなら、会いに行くべきではないな…」

エルヴィンは小さく笑いながらそう言った。きっと、この男は俺が問いかけた質問の真意を理解しているのだろう。

これからは、これまで拠点としていた古城から新たな拠点に移り、自分で編成した班と共に新しい任務を開始する。今後、俺が受け持つ任務はこれまで以上に危険を伴い、命の保証もできない。

そのため、に会いに行ったとき、安心させるための「材料」が何もなかった。それでも、自分なりに考え、その「材料」を探そうとしている。今、俺が優先すべきことはそれだけで、その「材料」がわずかでも見つかれば、無駄なことを考えずに行動に移すだけだ。

そう理解していても、優柔不断に右往左往する思考が「次に何をすべきか」という考えを妨げていた。そのため、情けなくもエルヴィンに問いかけているのだろう。

「しかし、そう思うからこそ、会いに行くべきだと俺は考えている」

それでも、エルヴィンはそう言い、手に持っている紙に視線を向けている俺の肩にそっと手を置き、優しく数回叩いた。俺はその言葉に耳を傾けながら顔を上げ、一度エルヴィンを見た。

そして、お互いの目が合うと、その瞳の奥には「お前らしくない」という言葉が宿っているように感じられた。
俺はその瞳を真っ直ぐに見つめた後、視線を逸らして再び窓の外の青い空を見つめた。

エルヴィンとハンジが何年もについて、俺に隠し事をしていたことは、もうどうでもいい。過ぎたことだ。確かにあの時の俺は混乱しており、正気を保ち、まともに物事を考える余裕もなかった。

しかし、時間が経つにつれて「それぞれに考えや思いがあった」と思えば、追及し責め立てることは労力と時間の無駄だと感じるようになった。

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