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空を見上げた。

第16章 14。



すると、彼は相変わらず窓の外から視線を逸らさず、窓のそばに置かれた机の引き出しを力なく指さした。私は「ありがとう」と頷き、窓から離れて机に近づき、一番上の引き出しを引いて、メモ帳と筆記用具を取り出した。

額に上げていたメガネをかけ直し、メモ帳から紙を切り取り、机の上にあるランプや明かりを灯さずに、素早く筆記用具を走らせて、目的の内容を書き終えた。

インクが乾くように紙を空気に晒し、乾いたことを確認してから二つ折りに畳んで、リヴァイに差し出した。

「…なんだ、これは…」

「の家の住所だ。受け取ってほしい。足の具合を見て会いに行ってあげて。大丈夫、あの子は君をずっと待ってる。あと、私はずっと…いや、この先、何があっても君たちの味方だ。何よりも誰よりも、二人の幸せを願っている。それだけだよ」

私はリヴァイに二つ折りの紙を差し出した。その紙にはの家の住所が書かれている。しかし、彼はすぐにはその紙を受け取らなかった。

それでも、一瞬躊躇しながら、恐る恐る震える片手を伸ばし紙を受け取った。そして、リヴァイは受け取った紙を見つめたまま、微動だにしなくなった。

「愛し合っているんだ。思い合っているんだ。誰よりも何よりも…切ないよね。苦しいよ。でも、手放せないんだ。」

リヴァイは身動き一つせず、受け取ったの家の住所が記された紙を両手で持ち、じっと凝視している。私はそんなリヴァイを見つめながら、これから再会する二人の姿を思い浮かべ、一言一句を噛みしめるように呟き、自分自身に言い聞かせた。

そして、「これ以上話す必要はない」と判断し、何も言わずに静かにその場を離れた。 室内は窓から差し込む月明かりだけで薄暗い。しかし、リヴァイが座っている場所だけが特に月明かりに照らされているように感じられ、神秘的な雰囲気を醸し出していた。

私はそっとドアノブに手をかけ、静かにドアを開けた。ギィという音が静かな空間に響き渡り、私はゆっくりと部屋を出て、ドアを閉めようとしたその瞬間だった…

「っ…クソがっ…バカやろう…ふざけやがってっ…」

ドアを閉める直前、リヴァイは私が渡した紙を胸に抱きしめながら、の名前を呼び続けていた。

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