第16章 14。
しかし、妊娠が分かった時点で、はキャパオーバーを起こしてしまったのだろう。私は少し冷静になり、当時のの状況や心境を客観的に考えたとき、もう少し親身になってあげればよかったと「後悔」という小さなトゲが未だに心に刺さっている。だからこそ、二人が再会し、話し合って理解し合えたなら、今度こそお互いが、どちらかが死んでしまう日まで思いやりを持ち、愛し合い続けてほしい。そして、リヴたち家族5人が幸せになってほしいと願っている。
「…さっきは…」
「いいんだ。君は何も悪くない。すべて想定内…とは言えなかったけど、覚悟はしていたよ。も何の覚悟もなく私に頼み事をするはずがないだろう?こうなることは必然だったんだ。気にしないでほしい」
私は黙って自分の考えを整理しながら窓の外を見ていた。そして、時間の経過とともに空模様が変化する様子を落ち着いた気持ちで眺めていた。
リヴァイとの会話は必要最低限だったため、彼の様子を見ながら改めて自分の考えや気持ちを整理していた。この場に訪れるまで、さまざまな感情に支配されていたが、いざ対面すると、思ったより会話ができていることに安心していた。
そして、リヴァイはためらいながら一度口を開いた。しかし、私は彼がこれから何を言おうとしているのか容易に察することができたので、彼の言葉を素早く遮った。
きっと、リヴァイは私に銃口を向けたことを謝罪しようとしているのだろう。しかし、リヴァイには何の非もない。今回の件を含め、これまで私とエルヴィンが彼に対して行ってきたことは決して許されるべきではない。
謝罪をしなければならないのは私たちの方だ。リヴァイは今日、何年も思い続け探し続けた「存在と真実」を突然突き付けられ、その内容が想像以上だったことに混乱し戸惑っているに違いない。余裕を失い冷静な判断を下すことができなくなるのは当然だと思う。
私はあの時、心の底から「このまま拳銃で撃たれて死んでもいい」と覚悟し、同時に恐怖心を抱いていた。それでも、あの時のリヴァイの姿を見て、私が決めた「覚悟」は無責任だと感じた。