第16章 14。
「…クソが…そんなもの手元に置いておく時間があるなら、そばにいろ。手紙だ?ふざけやがって…そんなものを書いている暇があるなら、直接言えばいいだろう。」
「うん、そうだね。それについては、私も同じことを思ったよ。でも、には言えなかった、ごめん」
「…もういい、済んだ話だ。蒸し返しても時間の無駄だろう。無駄なことに時間を割く暇はねぇ。それに、この先、何があっても手放さねぇよ」
あの日の夜、処分したものについて問われた際、私は包み隠さず正直に答えた。その時、今まで無表情だったリヴァイは初めて表情を変えた。
彼はあからさまに眉をひそめ、顔をしかめながらため息をつき、呆れた様子でそう言った。あの日に、マントと共に預かった手紙には、私宛のものが含まれていた。
「処分してほしい」と言われたものは「マントとリヴァイ宛の手紙」だけだった。は私に、私宛の手紙を何も言わずにしっかりと手渡してきた。
あの時、彼女の様子と私を見つめる瞳には「読んでほしい」という気持ちが込められていた。その気持ちはしっかりと伝わってきた。しかし、私はあえて読まなかった。いや、読めなかったのだ。
書かれている内容は、大体予想できた。二通の手紙の封筒は古びており、随分前に書かれたものだと分かった。封筒の状態から、兵士を辞めて姿を消した時期に書かれたのではないかと推測した。
きっと私宛の手紙には、謝罪と感謝の気持ちが記されているのだろうと考えた。また、リヴァイ宛の手紙は非常に分厚く、書き始めてから終わりが見えなくなったのだろう。封筒には涙の痕が残っていたのを覚えている。
涙の痕が残る封筒を見たとき、本当に処分していいのか判断に迷った。しかし、リヴァイの言う通り、言いたいことがあるなら、まとまりがなくても支離滅裂でも構わない。直接伝えることには大きな意義があると思った。
そのため、今はが生きていることが知れてよかったと思っている自分がいる。この先、直接気持ちを伝える時間ができるのだ。
現在、リヴァイはが自分で判断し、行動に移した理由や考えを理解できずに困惑し混乱しているのだろう。