第16章 14。
私は、先ほど彼が私に銃口を突き付けた瞬間を思い出し、「あのような暴挙に出ても仕方がなかった」と受け入れるしかなかった。それでも、あの時のリヴァイの雰囲気と容赦のない言動には、今でも少し恐怖を感じ、思わず両手で自分を抱きしめるように腕を撫でた。
「ここから見えたんだ…いい部屋だね」
「あぁ、悪くない…」
私は「今は余計なことを考えない」と思いながら腕を組み、窓際の壁に寄りかかり目を細めてそう言うと、リヴァイは小さく頷き、静かに満足げに呟いた。
そして、私たちはしばらくの間、お互いに言葉を交わすことなく、黙って窓の外を見つめていた。窓の外では、日が少しずつ傾き始めており、青と夕焼けのオレンジ色が混ざり合い、そのコントラストが頭上の空に広がっていて非常に美しかった。
しかし、同時に私は、思った以上に時間が早く経過していると感じていた。この先、私は彼に自分の考えや抱えている気持ち、の情報を伝えられるかどうか心配になり、内心少し焦っていた。
しかし、今、私はリヴァイと二人で「二人の場所」に視線を向けていると、時間の経過を気にすることなく、この場の静かな雰囲気を堪能しようと思った。
ただ、窓の外に視線を向け、目の前を見据える。私たちの視線の先にあるものは、他人から見ればどこにでもあるただの「木」だ。
しかし、私にとってもリヴァイにとっても、この狭い壁の中の世界では何よりも代えがたい、たくさんの思い出が詰まった唯一無二の存在である。
できることなら、この先、寿命や何かの拍子で折れて朽ち果ててしまう日が訪れるまで、その場で静かに育ち続けてほしいと願っている。そして、一度でいい、短い時間で構わないから、三人で過ごしたいと夢見てしまう。私はそう思い、窓の外を見つめ続けた。
今、リヴァイは部屋の窓を開け放ち、室内に風が吹き抜けていくことを気に留めていなかった。私はそのことに少し驚きながらも、「今は何も考えず、静かにあの「木」を見ていたいのだ」と察した。
彼は普段、日課である掃除以外では滅多に窓を開けない。開けたとしても、必要最小限の空気を入れ替える程度だ。そして、すぐに「部屋が埃臭くなる」と言って早々に閉めてしまう。