第16章 14。
しかし、今は埃っぽくなることも気にせず、窓を開け放っている。そして、外から入り込んでくる風を全身で受け止めている。
そんな彼の様子から、私は彼が何を考えているのか察することができなかった。彼は表現しきれない雰囲気を漂わせ、静かに外を眺めていた。
しばらくの間、私たち二人は何も話さず、沈黙がその場に漂い、静寂が広がっていた。しかし、その雰囲気に気まずさを感じることはなかった。
「元気だったか…」
すると、リヴァイは小さく息を吐き、口を閉じた。そして、意を決したように、静かに震える声で恐る恐る私に問いかけてきた。
「え、あぁ…まぁね…元気にはしていたよ。でも、とても寂しそうだった」
「そうか…」
私は窓の外に視線を向けたまま、彼の言葉を聞きながら返事をし、腕を組み直した。一瞬、どのような表情を浮かべ、何を言えばよいのか迷ったが、あの日にに会い、彼女に対して直観的に感じたことを正直に答えた。
すると、私の言葉を聞いた直後、彼は小さく舌打ちをした。おそらく、今、彼の脳内には自分の感情を誤魔化して生きているの姿が思い浮かんでいるのだろう。
しかし、その舌打ちが心からのものではないことは容易に推察できる。リヴァイはきっとに対しても、自分自身に対しても苛立ちを抱えているのだ。
その苛立ちは非常に大きいだろう。しかし、彼は文句をダラダラと言い続けるわけではなく、思ったことを簡潔に述べている。私はこの先、リヴァイが抱えている感情をがこれまで抱えてきた感情と重ね合わせて共有してほしいと思っている。
そのため、私は何とかしたかったが、「これ以上は私が関与すべきではないだろう」と考え、その舌打ちを無視した。
私がに再会した日、彼女の様子から、本人も気づいていないであろう気持ちを察するのは容易だった。私を見つめていた彼女の瞳には、はっきりとリヴァイの姿が重なっていることに気づくのは簡単だった。その時、私は言葉では表現しきれない感情を抱きながら、あの夜を彼女と過ごした。