第16章 14。
その場を離れようとした時、室内から「入れ」と小さくか細い声が聞こえ、入室の許可が出た。その声は、意識していないと聞き逃してしまいそうなほど小さくか細い、私はその言葉を聞いて思わず素早くドアノブに手をかけた。
しかし焦ってはいけないと思い、一度ドアノブから手を離した。そして、はやる気持ちを落ち着かせるために、何度目になるかわからない深呼吸を繰り返し、一度深く頷き、意を決して再び恐る恐るドアノブを掴み、ゆっくりとドアを開けた。
静かにドアを開けると、ギィという音を立てドアが開き、室内とリヴァイの様子が明らかになった。
ドアを開けて室内に視線を向けると、目の前の光景に思わず目を大きく見開き、言葉を失った。
今、私の視界には、窓を開け、窓際に椅子を置いて力なく座り、感情を宿さない瞳で窓の外を見つめているリヴァイの姿が映っていた。
私はこれまでにこのような姿を一度も見たことがなく、その哀愁漂う雰囲気と表情に心を強く打たれ、心臓が締め付けられる思いがした。そして、思わず視界に映るその姿を、「窓から差し込む日差しを受け、一枚の絵のように美しくも切ない」と感じた。
「…入るなら、さっさと入れ…」
「あ…あぁ、失礼するよ」
私は部屋の入口で思考が停止し、言葉を失って佇んでいた。片手で口元を覆い、窓から差し込む日差しが逆光でリヴァイを霞んで見せているのを見つめていた。
すると、彼は身動き一つせず、その場に立ち尽くす私に視線を向けることもなく、感情のこもっていない抑揚のない、今にも消え入りそうなか細い声で再び「早く入れ」と言った。私はその言葉を聞いて我に返り、一瞬止まっていた思考を再び働かせた。
そして、室内に入る前に一言声をかけてから中に入り、ドアを静かに閉めた。その後、彼の様子を伺いながら静かに窓際に近づいた。
「何が見えるの?」
「…木…あいつとの場所…」
私がリヴァイと同じように窓の外を見ながら問いかけると、リヴァイは力なく窓の外を指さし、非常に静かで感情のこもっていない抑揚のない声で答えた。私は彼の言葉を聞き、確認のため窓際に手を置き、窓から落ちないように少し身を乗り出し、指し示された方向に視線を向けた。