• テキストサイズ

空を見上げた。

第15章 13。



そう言いながら、目元に置いていた片腕を下ろし、薄暗い食堂の天井を見つめた。そして、力が入らない腕に力を入れて持ち上げ、天井に向かって伸ばした。

私はこれまで何度もリヴァイとが二人で寄り添う姿を思い出し、目の前に思い浮かべてきた。それこそ数えきれないほどだ。

と再会してからは、これまで以上に思い出すことが多くなった気がしていた。二人で並んで寄り添いながら、大した会話もせずにあの「木」の下で空を見上げていた。私にとって、そんな二人を見守ることが幸せの一部だった。

そのため、が兵士を辞めて姿を消して以来、あの「木」の下でリヴァイが一人で空を見上げている時間が増え、胸が苦しかった。今も場所は異なっているが、リヴァイをよく観察していると、彼は相変わらず空を見上げている。

すると、天井に手を伸ばして呟いた私を、6人が息を呑んで黙って見つめている気配を感じた。私は皆に視線を向けて「リヴァイらしくないでしょ?」と笑いながら言った。

「守りたいという気持ちは痛いほど理解できる。それは私だってそうだ。みんなもそうだろう?でも、それって我慢して自分を押し殺してまですることなのかな?なぜ、あの子は守るために一人になることを選ぶの?」

私はそう言いながら顔をしかめた。そして天井に向けて伸ばした手を強く握りしめた。今、私の目の前には薄暗い天井が広がっている。

そして、私はその天井にリヴァイとの姿を思い浮かべた。これまで思い浮かべてきた二人は、いつも、他者が入る余地などないほど幸せそうな雰囲気を漂わせ、近くで寄り添っていた。

しかし、今思い浮かべている二人は思いが通じ合っておらず、表情は暗く悲しげな雰囲気を漂わせて背中合わせになっている。そして、自分で思い浮かべたそんな二人の姿に、思わず目を見開き言葉を失ってしまった。

それこそ、アルミンが言っていたように、生きている人の数だけ考えや思いが存在するのだ。その思いや考え全てが完全に交わることはないだろう。それは理解できる。

しかし、話し合うことで理解し合えることや状況が存在するのなら、その機会を大切にすべきだ。この世界が残酷であるという事実を理解し、実感しているのなら、迷わずその機会を手に入れるべきだ。

/ 288ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp