第15章 13。
私はただ「エルヴィンは悪くない」という気持ちを込めて、首を横に振ることしかできなかった。
「エルヴィンがリヴァイに何を話したのかは分からないけど、今私が話したこともリヴァイに伝える必要がある。でも、今の彼に話を聞く余裕があるかどうか…」
「今すぐには無理だろう。私が話した内容にとても驚いていたからな。しかし、この先のことを考えると、この険悪な雰囲気を長引かせたくない。もう少し時間をおいてから、話しに行ってやってくれ」
「…うん、そうするよ。ありがとう…」
「気にするな。お前だけの責任ではない。私も全く無関係ではなかったのだから。話を聞けてよかった。悪いが、これ以上話す時間がない。私はこれで失礼する」
「うん…ありがとう。ごめんね」
私とエルヴィンは短い会話を交わした後、エルヴィンは静かに椅子から立ち上がり、他の6人も再び席を立った。私も「さすがにもう体も動くだろう」と思い、起き上がろうと試みたが、やはりうまく体に力が入らない状態だ。
私は横になったまま片手を挙げて応じた。すると、エルヴィンが私のそばに近寄り、しゃがみ込んで目線を合わせ優しく微笑んだ。
「気持ちは分からなくもないが、あまり気に病むな。では、みんな、ハンジを頼む」
「了解です!」
エルヴィンは優しくそう言いながら私の肩に手を置き、軽く数回叩いた。私はその手の温もりと優しい言葉と声に安心感を抱き、微笑み返した。そして、エルヴィンは立ち上がり、その場にいるエレンたちに声をかけると、足早に食堂を後にした。
エレンたちはエルヴィンの言葉を聞き、敬礼の姿勢を取った。彼が食堂を後にした後、彼らは胸を撫で下ろすように椅子に座り直した。
そして、再び妙な緊張感と共に、しばらくの間、重い沈黙が流れ、広く静かな食堂には、この場にいる私たち7人の息遣いがやけに大きく聞こえている気がした。
しばらくの間、事情を知った6人は誰も何も言葉を発さず、それぞれ何かを考え込んでいるように見えた。彼らは私の話を聞きながら言葉を失ったに違いない。
そして、きっと話を聞いて思ったことはたくさんのことを思ったことだろう。しかし、簡単に言葉にすることはできないと理解しているのだろう。
「…兵長に…恋人…いや、奥さんがいた…なんて…」
「それに…子供まで…」
すると、一番最初に沈黙を破ったのは、やはりアルミンだった。
