第15章 13。
エルヴィンがリヴァイとどのような話をしていたのか分からず、エルヴィンの様子から推測することも難しい。それでも、できることなら一片でもいいから、私たちの関係を修復できる糸口を見つけたいと願ってしまう。
私は顔を覆っていた両手を外し、静かに席に着き黙っているエルヴィンに視線を向けた。そして、一度アルミンに視線を移した後、一瞬言葉を発することを躊躇い口ごもった。しかし、あのような場面を見せてしまった以上、「これ以上彼らに事情を黙っているわけにはいかない」と思い、小さく深呼吸を繰り返し、口を開こうとした。
「ハンジ、大丈夫か?」
すると、エルヴィンは私が言葉を発する前にそう言って、私を気遣ってくれた。
「ゴホッ…ゔん…まぁ…大丈夫…とは言えないよね」
「それは…仕方がないだろう。今はお互いに時間が必要だ」
「うん…ありがとう…エルヴィンは?リヴァイに何か話してきたの?」
私は咳こみながらエルヴィンに視線を向け、同じように問いかけた。すると、彼は苦しげに眉をひそめて「あぁ…」と私の問いに対し曖昧に短く答えた。
おそらく、エルヴィンはリヴァイに自分が知る限りののことを話したのだろう。そして、エルヴィンの声と様子から、リヴァイとの会話が辛いものだったと察することができた。
エルヴィンはお互いに時間を置いても解決しないとよく理解しているだろう。私たちの関係はプライベートでは柔軟に対応できるものの、仕事や任務においては、お互いに命を預け合っている部分が多い。そんな中で、調査兵団の幹部である私たちの関係にひびが入ることは、兵団内ではあってはならず、部下たちにも示しがつかない。
それでも、私とエルヴィンはそのことを理解した上でリヴァイにのことを黙って隠してきた。言い訳はできない。私とが再会しなければリヴァイを傷つけることはなかったのかと問われれば、「そうだ」とは言えない。
どんな形であれ、も私たちもリヴァイを身勝手に傷つけていた。私はこの先、どうすればよいのか判断できず、ため息をこらえ、両手で顔を覆い耐えることしかできなかった。