第15章 13。
私はその場の空気に居心地の悪さを感じた。しかし、何を話せばいいのか分からず、下手に事情を説明することもできず、そんな曖昧な自分に呆れ、再び深くため息をつくことしかできなかった。
それから、顔を覆っていた両手を外し、再びその場から起き上がろうと試みたが、やはり全身に力が入らず、横たわっていた椅子の上に力なく体が沈んでしまった。
その体は、全身に鉛を括り付けられたように重たかった。アルミンは、私が必死に起き上がろうとしているのを見て、慌てて椅子から立ち上がり、近寄ってきて、素早く私の体を支えてくれた。
「無理しないでください。酸欠を起こし、貧血気味ですから」
「あぁ…そぅだっよね…ごめっゴホッゴホッ…グッ…」
アルミンは私の体を支えながら、そう言った。私はその言葉に返事をしようとしたが、言葉を発しようとするたびに喉に違和感と激しい痛みが走った。私はアルミンに眉をひそめて謝罪し、その違和感と痛みをやわらげるために咳をすることしかできなかった。
そして、ふと周囲を見渡すと、この場にモブリットがいないことに気がついた。すると、アルミンが察して「モブリット副長は先に戻りました」と教えてくれた。私はその言葉を聞いて再び全身の力が抜け、アルミンの手を借りて椅子に横たわると、天井を見つめた。
あの後、リヴァイが自室に戻った後、エルヴィンは彼の後を追って城の中へ戻っていったことまでは思い出せる。しかし、その後の記憶は曖昧で、今の状況から、私は食堂に向かう途中で意識を失ったのだと理解できた。今、私の脳裏にはあの時のリヴァイの姿とやり取りが鮮明に浮かんでいる。しかし、すべてが想定内だったわけではない。
リヴァイが何らかの反応を示すとは思っていたが、あんな風に取り乱すとは想像していなかった。あの時の様子を思い出すと、痛いほど胸が締めつけられる。
そして今、自分の考えが甘かったと実感している。私は誰よりもリヴァイがこれまでどれほどのことを思い、愛し、探し続けていたかを理解していたはずなのに、肝心なところで彼の気持ちを測りかねてしまった。
「何をやっているんだろう…こんなこと…している場合じゃないのに…」
私は両手で顔を覆ったまま、喉に感じ違和感と痛みを感じながらくぐもった声で呟いた。すると、私の呟きに対して、その場にいる6人の視線が私に向けられたのを感じた。
