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空を見上げた。

第14章 12。



しばらくの間、俺たちの間には重い沈黙が落ち、気まずい空気が漂っていた。その中で、俺はこの時間と空間に耐えられず、「用が済んだのなら、早く出て行ってくれ」と強く思った。しかし、なぜかその思いを言葉にすることも、口に出すこともできなかった。

すると、俺はエルヴィンが小さく深呼吸を繰り返し、窓際から離れて俺の側に近寄ってくる気配を感じた。エルヴィンは蹲っている俺のそばに来ると、片膝をつき、同じようにその場にしゃがみ込んだ。

そして優しく俺の肩に手を置いた。俺は何も反応せず、空虚な気持ちを抱き続けた。すると、エルヴィンは「リヴァイ…」と優しい声で俺の名前を呼んだ。

「俺が今、話したことはただの仮説に過ぎない。それでも、俺もハンジもですら、身勝手にお前のことを裏切り傷つけていた。それは、変えようのない事実だ。今更謝罪を述べたところで許さることではない。俺たちはそれだけのことをしてきた。すまなかった。しかし、リヴァイ…俺は、きっとは今も変わらずお前のことを愛していると思っている。何も根拠も確証もない。だが、たとえ恨まれようとも、どんな形でも守りたいと思うことに罪はない。お前との子どもを授かったにとって、この世界を生きていくためには何かしらの選択が必要だったのだろう。今は何を聞かされても、何も考えられないだろう。少し休んでくれ」

エルヴィンはそう言うと、俺の肩を優しく数回叩き、それ以上何も言わずに立ち上がり、静かに俺から離れた。そして、部屋のドアを開けると、ギィと軋む音を立てながら静かに閉めた。

俺は部屋に一人残され、抱えていた頭を抱え直し、髪の毛をぐしゃぐしゃとかき乱しながら深呼吸を繰り返した。そして、そっと顔を上げて部屋の中を見渡した。

その場にはいなかったが、の存在は感じられた。その事実を改めて実感したとき、表現しきれない気持ちが溢れ出してきた。

これまで、がいない世界に価値を見いだせなかった。がそばにいない世界で生きてこられたのは、どこかで「必ず生きている」と希望を抱いていたからだ。

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